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2021-12-04 23:53
(連載2)フランス大統領候補ゼムール氏とは
倉西 雅子
政治学者
第一に推測されるのが、ユダヤ人批判をかわすというものです。フランスにあっても、中世以来の反ユダヤ主義が息を吹き返すかもしれませんので、先手を打つ形でイスラム教徒をスケープゴートに供したとも考えられます。もしくは、フランスのユダヤ人は、生粋のフランス人の味方であることをアピールしようとしたのかもしれません。
第2の推測は、一般のフランス人と移民との間の分断を促進するというものです。現在、フランスの人口の13%が移民系とのことです。後者の出生率の高さからしますと、全人口に占めるイスラム系の移民の割合はさらに上昇することでしょう。一方、ゼムール氏自身はユダヤ人ですので両者の対立から離れた安全な場所に居ることができます。双方から利益を引き出すことができますので、フランスの分断は、ゼムール氏にとりましては望ましい状況なのかもしれません。
そして、第3に推測されるのは、イスラム教徒のためにこそゼムール氏は迫害を煽っているというものです(歴史的には、ユダヤ教徒とイスラム教徒は不仲というわけではない…)。このケースでは、イスラム教徒はフランスの過激な移民排斥主義の犠牲者ということになりましょう(ヒトラーをユダヤ系とする説もユダヤ人を犠牲者とするために敢えて迫害したとしている…)。ゼムール政権後においては、むしろ一般のフランス人には差別主義者のレッテルを貼られると共に、イスラム・ヘイトを取り締まることを名目とした厳しい言論統制が行われるかもしれません。
ハイネがカール・マルクスとも親交があったことが示すように、ユダヤ人の内面は表面に現れる姿とは違っているのかもしれません。仮に、ゼムール大統領が誕生するとしても、ゼムール氏が、ロスチャイルド家の代理人とも揶揄されてきたマクロン現大統領と同根であるのならば、政権掌握後に公約を一変させて、結局は‘第二のマクロン大統領’となるのでしょうか。ゼムール氏は、謎に満ちた存在なのです。(おわり)
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(連載1)フランス大統領候補ゼムール氏とは
倉西 雅子 2021-12-03 23:54
(連載2)フランス大統領候補ゼムール氏とは
倉西 雅子 2021-12-04 23:53
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