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2021-09-11 20:52
(連載2)日本の環境・エネルギー問題の今後
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
答えは、単純な一本調子では「進まない」もしかしたら「今よりも温度が下がっているかもしれない」。2006年に原油の採掘量がピークアウトしている。もちろん、化石燃料はなくなるというものではないのかもしれないが、しかし採算性が高いために欠かせないとされるこれらのエネルギー資源は真っ先に消費されて枯渇する。そして採算性が悪化する。そのためにどこかの時点で「火力」は限られたものになる。温暖化はそういう意味で逓減するということになる。
その意味を含めて「脱火力」を研究することは温暖化対策としてのみならず非常に有意義だ。これは、現在の温暖化の対策ということでもないが、「将来の地球には絶対必要になる」ということであることには変わりはない。そのように考えれば、再生可能エネルギーの研究や原子力の研究などは十分に必要なものであるということになる。しかし、では「そのように電力そのものが少なくなる可能性」があるにもかかわらず、「EV車」というのはどのようなことになるのであろうか。
アフリカでコバルトの争奪戦が起きているが、これは充電池の原材料の一つとして需要が更に伸びているからだ。従来電力は発電してそのまますぐ消費される仕組みで供給されてきた。揚水発電などを除いては、大電力をためておくための経済的な手段がなかったためだ。そのために「電気をためる装置」としての充電池の開発に各国がしのぎを削ってきた。「銅」や「コバルト」はその際に重要な資源として改めて重要視されるようになっている。現段階の生産量はコバルトの場合、その68%がアフリカのコンゴ共和国で産出され、また、その過程で児童労働が問題視され人権団体などから非難されている。そのようなことから、日本政府は及び腰になっているし、現地ではテロや内戦によって治安も芳しく無く、日本企業の進出も遅れている。このような状況では、中国が有利なのは想像に難くないだろう。例にもれず、現に中国は既にコバルトの大量確保に成功しており、争奪戦でリードしている。
目下、日本政府は自動車業界に「EVへの転換」を促しているが、簡単な話ではないことがわかるだろう。そもそもの発電力が不安な現状は国内の生産力の足腰に関わる。化石燃料の輸入に依存する火力発電のあり方は資源安全保障や原子力・再生可能エネルギーの将来像との兼ね合いからも考えなければならない。グリーンエネルギー分野は先端技術の開発力が物を言うため、どの国も大いに注力しているが、日本はどうか。電力、電池、どちらも不十分のままの掛け声だけでは始まらないのである。(おわり)
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(連載1)日本の環境・エネルギー問題の今後
宇田川 敬介 2021-09-10 22:00
(連載2)日本の環境・エネルギー問題の今後
宇田川 敬介 2021-09-11 20:52
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