EU加盟国の中でデジタル化が最も進んでいるエストニアでは、各行政機関が保有する自分のデータを国民 ID番号を入力することで閲覧でき、自分のデータを誰がいつ参照したのかアクセス記録を確認できる仕組みになっている。不審なアクセス記録を発見した場合には、苦情申し立ても可能である。日本においても行政情報漏洩や民間プラットフォームの顧客個人情報流出問題が生じるたびに懸念が高まっている。そこでサイバーセキュリティを強化し、行政情報、国民の個人情報やデジタル・プラットフォームへの信頼性を向上させるためには、エストニアと同様のシステムの構築が課題となる。コロナ禍において日本では、民間で電子契約サービスの需要が高まり、行政機関でも申請において捺印の廃止や省略が進み、デジタル署名、デジタル証明書の発効を促進する方向での法改正を行い、デジタル化のための方策が官民共同で進められつつある。日本では、EUとは異なり、政府と経産省を中心に、大企業を念頭においたDXが政策的に推進される傾向にあることを指摘できる。EUが欧州企業の九割以上を占める中小企業や個人のDX活用に重点を置き、決済分野での新技術開発と適正な規制の均衡をとりつつ、グローバル・スタンダードとなる標準化を検討しつつあることに鑑みれば、日本も中小企業や個人のDX活用分野においてもEUと協力していく分野も少なくないと言えよう。(出典)https://doi.org/10.38044/2686-9136-2020-1-2-8-16,July 31,2021.p.12.(図表)