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2021-07-29 13:21
(連載2)軍艦島’移管決議案’を看過してはならぬ
倉西 雅子
政治学者
産業革命の発祥地であるイギリスに至っては、成人男性の6割が炭鉱夫であった時代もあったそうですが、アイルランド出身の炭鉱夫も少なくなかったようです。そして、近代という時代が植民地主義の時代であったことを考慮しますと、イギリス国内のみならず、西欧列強の植民地における炭鉱にあっても、採掘方法はどこも同じなのですから炭鉱夫の境遇には変わりはなかったはずです。
もっとも、劣悪な労働条件は、必ずしも低賃金を意味するわけではありません。イギリスでは、都市の一般的な工場労働者と比較しますと、炭鉱夫の所得の方が高い傾向にありました。日本国でも、軍艦島にはあらゆる娯楽施設が整えられていたように、生活水準は決して低いものではなかったのです。日本国側に残る当時の記録によりますと、朝鮮半島出身の炭鉱夫に対しても賃金は支払われており、韓国側が主張する’強制労働’は事実に基づくものではありません。
以上の諸点からしますと、今般の軍艦島をめぐるユネスコの世界遺産委員会での決議は、日本国に対する不当な評価による名誉毀損のように思えます。炭鉱夫の労働の過酷さは軍艦島に限ったことではありませんし、外国人炭鉱夫の存在も日本固有のものでもないからです。’強制労働’という側面からしますと、西欧列強(その背景には東インド会社)による植民地における現地住民の使役の方が、余程、’強制労働’の名に相応しかったのではないでしょうか。
このような炭鉱労働の性質を踏まえれば、敢えて日本国政府が軍艦島の説明文において朝鮮人半島出身者について言及する必要性は見当たらないのです。ユネスコの世界遺産の登録が政治利用されている今日の状況を考えますと、世界遺産登録の取り組みとはすなわち巧妙に仕掛けられた’罠’との戦いといっても過言ではなく、決して手を緩めてはいけない外交の場であることを忘れてはいけません。(おわり)
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(連載1)軍艦島’移管決議案’を看過してはならぬ
倉西 雅子 2021-07-28 20:56
(連載2)軍艦島’移管決議案’を看過してはならぬ
倉西 雅子 2021-07-29 13:21
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