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2021-07-03 07:21
(連載2)「国論の二分化」が、日本を前進させる
岡本 裕明
海外事業経営者
LGBTの法案がなかなか通りません。思想的保守派が難癖をつけているのです。ただこの難癖もいずれ包囲網ができるので弱体化し、どういう形にせよいつかは通過する法案でしょう。少し時代をさかのぼれば東日本大震災を機に起きた原発問題もいまだに意見が割れています。一度、人々の心の奥底に強い印象を植え付けた事件は、どれだけ時代が変わり技術が進歩しても、結論ありきの「決め付け」の心理が働き、方向転換できないのです。もうすこし歴史を振り返ると戦後の労働組合運動や学生運動、明治維新に向かう幕府派と薩長や朝廷、更には関ヶ原の戦いも国を二分化しました。枚挙にいとまがありません。ただ、二分するような案件、事件を介して次のステップへ改革が進んだこともまた事実です。関ヶ原の戦いを通じて国内の安定を徳川幕府が提供したのは戦国時代で疲弊した諸藩の事情もあったでしょう。戦後の左翼運動では、共産党、学生、企業の従業員が三位一体で始めましたが、突き進んだ学生に対して共産党と企業組合は離れていきました。企業の経営陣は組合と理念や労使条件改善を通じて一体化し、共産党は時代に置いて行かれ、学生は自爆しました。原発に関していえば、強い憎悪一辺倒だったものからカーボンゼロを前提にした必要性と最新型の小型原発が注目されそうです。
ではコロナはどうかと言えば、私はこれも過渡期にあるとみています。ワクチン接種が進む過程において徐々に人々の考えが変わってきています。接種した層を中心に感染者の数が減少していることもあるし、高齢者の接種が進み、社会で精神的安堵感が出てきていることもあります。大事なのはどういう結果になるにせよ、大きな反省と過去の考え方ややり方にメスが入り、新しい仕組みが生まれることなのです。
私は世論を二分化する議論ほど日本を良くするものはないと思っています。特に日本の場合は慣例主義で過去に事例がなければ新しいことに踏み込まない傾向が極めて強い国です。だからこそ、大議論を通じて変わり、時代の空気と取り込み、人々もそれに順応していき、対応できる技術やアイディアがどんどん提供されることで社会は進化していくと考えています。もう一つ、サル山の大将と化した日本の社会構造のそもそもは神道による日本的平等主義が前提にあると考えています。つまり、表面上差がない、だけど人々は差を求める、一方、差があり過ぎると「出る杭を打つ」という極めて特殊で微妙な社会の距離感を生み出したのが日本の特徴です。これは私が外から30年間見続けて確信をもって言える日本社会論の一つです。
またこの微妙なニュアンスは外国人にはなかなか理解できないと思います。そもそも神道の精神が分からなければ私の言わんとしていることは分かってもらえないと思います。コロナも五輪も後になれば収まるところに収まります。日本の社会はそのようにしながら独自の進化を遂げていると考えています。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)「国論の二分化」が、日本を前進させる
岡本 裕明 2021-07-02 23:20
(連載2)「国論の二分化」が、日本を前進させる
岡本 裕明 2021-07-03 07:21
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