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2021-04-27 19:36
(連載2)対コロナ政策における同調圧力の限界
緒方 林太郎
元衆議院議員
しかし、制度を補完しているのは文化としての「同調圧力」と「村八分」です。この同調圧力が機能しなくなる時には制度そのものが機能しません。そして、現在起こっているのは正に同調圧力が機能しなくなった状態です。コロナ疲れでもう外出や移動の抑制に従ってもらえなくなっています。同調圧力くらいでは「もう生活や仕事が厳しくなって来ていて、そんなものには従えない」というのが現状でしょうし、それを世の中全体も是としているように見えます。多分、現政権の考えは「だからと言って、オリンピック開催の可能性を残す中、今更法改正の上、強い措置は取れない。ワクチンが広まれば収まるので、そこまでの我慢。」という事でしょう。私も現状を前提とするなら、その考えは理解します。「今からでも法改正して強い措置を取るべき」とまで言っているわけではありません。
ただ、将来同様の事が起こる時のための検証として、極めて厳格な要件の下での時限的な私権制限を導入しておくべきではなかったのかと思います。具体的には外出禁止や休業命令、更には個人情報保護法の一部停止による(スマートフォン等の活用による)感染状況の把握です。台湾のオードリー・タン大臣がやったような対策を礼賛するのであれば、個人情報保護法を時限的に停止せざるを得ないはずです。
私は基本的人権の尊重をとても大切に考える人間です。「私権制限を考えて強権政治を目指す悪魔」ではありません。そこに制約を掛ける事の重大さをきちんと理解しています。そして、やらずに済むのであればやりたくないとも思っています。一度やってしまうと「慣れ」が出来てしまうことへの恐怖感は、戦間期ドイツの歴史を学んでよく知っています(なので、私は憲法に「緊急事態条項」を入れる手法にはかなり懐疑的です。)。
ただ、こういう危機的な時にすべてが自主的な措置(+同調圧力)だけでやっていけると思えないのです。集中的にそのような私権制限を含む措置を導入して、徹底的にCOVID-19の広がりを叩いてしまう事で早期に平穏な世の中が取り戻せるのであれば、それを国民各位は評価していただけるのではないかという思いだけです。しつこいですが、同調圧力が機能しない中では今のコロナ対策の制度はほぼ機能しません。私の見解には争いがあるでしょう。御批判がある事も重々承知をしています。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)対コロナ政策における同調圧力の限界
緒方 林太郎 2021-04-26 18:39
(連載2)対コロナ政策における同調圧力の限界
緒方 林太郎 2021-04-27 19:36
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