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2021-02-06 21:56
(連載2)輪転機は回し続けられるのか
真田 幸光
大学教員
ソウル大経済学科のキム・ソヨン教授は、「政府が使う資金の規模が同じだとしても、既に市中にある資金を税金などで集めて使うのと、韓国銀行が新たに刷ったカネを使うのでは大きな違いがある。韓国政府がいま議論しているように、韓国銀行がもっと紙幣を刷り、そのカネが市中に流れれば、ウォンの価値が大きく下落し、インフレが発生し、外国人資本の流出による市場不安が起きるリスクもある」と指摘しています。とても論理的かつ説得力のある議論です。私も全く同様の考え方をしています。
そこで、我が国日本の実態をもう一度見つめ直して下さい。日本国債は、確かに一次市場では安定消化されているものの二次市場で日銀が買い込んでおり、韓国で議論されていることが実際に行われているのです。否、日本で、国債のみならず株式までもが日銀に買い取られていることはとみに有名であります。それでは、なぜ日本では、韓国のような議論が出てこないのでしょうか。
経済学者やマスコミの政界に対する「忖度」の要素もありましょうが、日本と韓国の最大の違いは、「通貨円と通貨ウォンの国際金融市場での信用力に格段の違いがある」ことにあります。日本円は、幸いにも今は、「比較的安全、安心な通貨」の称号を貰っており、「どこに行ってもモノやサービスと交換できる通貨」として流通しています。上述した韓国ウォンのように通貨増発しても、「今は」通貨の信用力の低下、そして、国家の信用力の低下が顕在化しないと見られているので、まあ、今は安心していても大丈夫であると思います。
しかし、日本円の信用力は有形資産を裏付けとしたものではなく、「日本の国力」と言う有形、無形の資産を総合的に判断した信用力であり、無形資産の部分を背景として、突然に、「瓦解するリスク」は残っています。基軸通貨・米ドルですら、基軸通貨の地位に揺らぎが見られれば、瓦解するリスクはあるのです。今は、無形資産の裏付けである実体経済を大きく上回る資金を放出しているリスクが顕在化しないことを祈るばかりです。そして、早期に「実需原則」を復活していくべきであるとも私は考えています。(おわり)
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(連載1)輪転機は回し続けられるのか
真田 幸光 2021-02-05 19:57
(連載2)輪転機は回し続けられるのか
真田 幸光 2021-02-06 21:56
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