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2020-11-29 09:25
(連載2)菅総理「温室効果ガス50年にゼロ」について
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
もちろん新規の需要が出てくるからといっていいことばかりではない。技術革新についてくることのできないメーカーなどは市場が喪われて淘汰されるだろう。新しい規制の中で競争力を持った企業が活躍し、ガソリン車依存から転換できなかった既得権益層は、厳しい選択を迫られるだろう。
他の家電などもエネルギーの供給を受けて仕事をする以上、ビジネス環境の変化が出てくる。今後電気が大量に消費されるようになるだろうことは当然として、ではその発電はどのように行うのか。今尚火力発電を主力としてのスマートグリッドが進む日本の電力環境において、将来的に全てを再生可能エネルギーだけでなんとかできると思っているのか、その辺も考えなければならないであろう。
環境NGO「気候ネットワーク」の平田仁子理事は「50年ゼロだけではなく、30年に半減させる必要がある」と指摘。再生エネの導入拡大や石炭火力発電の廃止など、技術革新を待たずに着手できる対策の積極的な実施を求めている。簡単に理想を言うことはできるが、現状として「再生可能エネルギー」と「石炭火力」はお互いの弱点を補うようにその発電量の調整が行われているのには理由がある。では石炭火力発電の廃止に向けて超えなくてはならない技術的経済的な課題はどうするのか。これは、政治的な要請だけで勧めてはならない問題だ。
筆者は、3・11より前から、再生可能エネルギーや火力、水力、原子力など多様なエネルギー源を組み合わせて電源構成を最適化する「エネルギーミックス」を理想と思っている。政府はエネルギー基本計画に基づいてこれらを進めているが、実際に道筋通りに進んだとしても、「30年に半減」はしない。これは、日本のグローバル経済での生き残りにも直結する。冷静かつ政治的な思惑のない議論が必要なのではないか。(おわり)
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(連載1)菅総理「温室効果ガス50年にゼロ」について
宇田川 敬介 2020-11-27 18:45
(連載2)菅総理「温室効果ガス50年にゼロ」について
宇田川 敬介 2020-11-29 09:25
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