ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2020-11-13 17:39
(連載2)バイデン次期大統領と日本の外交戦略
鈴木 馨祐
GFJ政治家世話人/前外務副大臣
特に中国が影響力を強める中で、アメリカがグローバルな課題の解決や世界のルールメーカーとして積極関与する方向に向かうのか否かがマルチの分野での注目です。パリクラブへの復帰にバイデン次期大統領も言及しているようですが、これはアメリカとしても実質的にこれまでも州や民間ベースでは動いていた話で明確な方針転換とまでは言えません。むしろ、自由貿易をどこまで民主党左派を説得しながら進められるのか、そこが注目ポイントと言えます。具体的にはTPPやあるいは安全保障の分野にもつながりますが、「航行の自由」という観点での南シナ海や東シナ海、台湾にどうコミットできるかがポイントです。
そして、安全保障、二国間の分野においては、中国とどう対峙するかがまさに最大のポイントとなることはいうまでもありません。アメリカの伝統的な外交エキスパートはどうしてもワシントンからの視野として、ロシアを最大の脅威ととらえ、NATOを一義的な同盟と考える傾向があります。しかし、最近の中国の様々な意味での台頭とその野心を考えれば、アメリカがいかに中国をリアリズムの観点での脅威と考え、日本や台湾、あるいはベトナムやインド、オーストラリアを一義的な同盟と考える環境を創れるのかが、今後の我が国の命運を考える上では極めて重要です。
民主党政権は伝統的に、人権などの価値に関して対中国でも厳しい姿勢を取る傾向がありました。ウイグルや香港についてはその傾向からすればかなり厳しい姿勢で臨むと思われます。そこに加えて、最近の中国の動きのエスカレーションからすれば、安全保障的視野での戦略的な取り組みと、南シナ海、台湾海峡、東シナ海において軍事的な「行動」をとりうる覚悟が極めて重要になってきます。ここが、アメリカが世界やアジアへの関与を継続できるかの試金石でもあります。私自身も個人的なチャネルも駆使しながら、わが国にとって最善の国際政治環境を創っていくことができるよう、日米関係をさらにレベルアップしていくために全力を尽くしてまいりたいと思います。(おわり)
<
1
2
>
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
(連載1)バイデン次期大統領と日本の外交戦略
鈴木 馨祐 2020-11-12 18:06
(連載2)バイデン次期大統領と日本の外交戦略
鈴木 馨祐 2020-11-13 17:39
一覧へ戻る
総論稿数:4819本
グローバル・フォーラム