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2020-10-22 11:54

(連載2)日米豪印戦略対話と東アジア外交

岡本 裕明 海外事業経営者
 日中関係ですが、双方、外交戦略の出方を見守っているように感じます。そもそもコロナ禍で外交バトルをしている余裕があまりありません。また、菅総理には安倍元首相のような思想的色付けもなく、中国には読みにくいというのが本音でしょう。安倍氏がデビュー後、靖国訪問で中韓を刺激して自身の立ち位置を明確にしたこととの比較という意味です。お手並み拝見というところなのでしょう。だから王毅外相がやってくる(11月以降に再調整とのことですが)とも言えます。
 
 地団駄を踏んでいるのが韓国。韓国紙にはポンペオ氏も王毅氏も来ないといったトーンの記事が出ていますが、いわゆる外交スルー現象(コリア・パッシング)が起きているとみています。理由は明白で文政権のポリシーが朴槿恵政権と全く同様、中国・アメリカ両股天秤外交であるからです。同国の両股天秤外交は歴史的に当たり前のように存在し、その中心は日本と中国との両股天秤でした。数多くの朝鮮半島の歴史的事変のトリガーはその両股に背景がありました。今、その天秤が日本ではなく、アメリカに移ったというだけの話で、アメリカはもちろん気が付いています。ならば、大統領選を控える中、今は韓国訪問は得策ではないと考えたとみています。
 
 また、北朝鮮も自国の立て直しに精いっぱいに見受けられます。台風9号が思ったより北朝鮮に甚大な被害をもたらしたこともあり、金正恩委員長もロケットを飛ばしている場合ではないことはありありとわかります。先日の北朝鮮軍の韓国人射殺事件は日本であまり報じられませんが、かなり不思議な事件で確実に裏があるはずですが、もっとも奇妙だったのは金正恩委員長が謝罪したことであります。これは異例中の異例の事態であり、外交が優先していないことを明示しています。
 
 そのあたりから概括するとポンペオ国務長官が韓国訪問を延期したのも王毅外相が韓国訪問計画を白紙撤回しているのも朝鮮半島が今の主たるテーマではないということを裏付けています。言い換えれば周りを固める方が先で朝鮮半島は一番最後ということに見えます。そもそもアメリカは大統領選、欧州はコロナが再び襲来、中東は原油価格の低迷とイスラエル、イランをめぐる外交の天秤があり、東アジアだけが比較的平穏で回復基調という状況です。個人的には今年いっぱい、大きな外交展開はないとみています。(おわり)
 
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(連載1)日米豪印戦略対話と東アジア外交 岡本 裕明 2020-10-21 22:35
(連載2)日米豪印戦略対話と東アジア外交 岡本 裕明 2020-10-22 11:54
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