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2007-07-14 10:26

連載投稿(1) アジア・ゲートウェイ構想と留学生政策

田島高志  東洋英和女学院大学大学院客員教授
 先日東アジア共同体評議会の政策本会議の場で、内閣の「アジア・ゲートウェイ戦略会議」の座長である伊藤元重東大教授より、「戦略会議」の問題意識等について直接ご説明を拝聴する機会を得た。この「戦略会議」は最重要10項目と重点7分野について議論を進めており、10項目の中には留学生政策の再構築も含まれている由であった。私も、留学生政策は重要であり、その改革が是非必要と考えていたので、この「戦略会議」の具体的成果を強く期待したい。

私見では、留学生政策の課題は、第1に優秀な学生を受け入れること、第2に受け入れた学生に十分な支援を行なうこと、第3に卒業後の人材活用に出来る限り配慮すること、であると思う。

では、具体的に何をなすべきか。現在の中国や東南アジアでは、最も優秀な学生の多くは、米欧に留学する傾向が強く、日本の文化や技術に特別の関心を持つ者以外は、なかなか日本にはやって来ないのが現状であると言われる。であるとすれば、第2、第3の課題が改善されれば、それに伴い上記第1の課題は自然に解決される面が多いと思われる。そこで第2の課題について考えてみたい。

 日本の大学での留学生に対する教育自体は、各大学や先生方が自発的に熱心に取り組んでおられるので余り問題はないようであるが、問題は留学前後の日本語教育にある。授業や研究は英語で行なう大学や担当教授が増えており深刻な問題はないようであるが、日本での生活、日本人との交流、日本語での文献渉猟、卒業後の日本企業への就職などのためには、留学生に対する日本語教育の一層の強化が必要である。それには、海外での日本語教育と日本滞在中の日本語教育の双方を強化する必要がある。例えば、国際交流基金の海外での日本語教育は、ブリテイッシュ・カウンシルやアリアンス・フランセーズに習い、一層強化されるべきであろう。日本にいる留学生にも日本語の学習補助など何らかの便宜と推奨を与えるべきである。普通の日本語ならばできる留学生も「日本語には輸入外来語が多いので、日本語の授業に十分ついて行けない」と言っている。(つづく)
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連載投稿(1) アジア・ゲートウェイ構想と留学生政策 田島高志  2007-07-14 10:26
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