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2020-07-10 23:09
(連載2)ドイツの憂鬱
岡本 裕明
海外事業経営者
ドイツ銀行、フォルクスワーゲンそして今回のワイヤーカードそれぞれにみられる共通点は巧みなごかましであります。調べてもなかなか本当のことが分からないぐらい仕組まれてしまっていることが特徴です。ドイツはまじめである一方、狡猾なところがあるということでしょうか?本来であればドイツは欧州大陸の経済の機関車として全体を引き上げる役割を果たさねばなりません。ところがこの数年、冴えない理由の一つに国家の向かうべき目標を失っているように感じるのです。
ドイツ全般の外交を見てみましょう。最近注目されているのがロシアとドイツを結ぶ1222キロにもわたるパイプライン「ノルド ストリーム 2」で既に1000キロ以上は完成しています。ところがアメリカがパイプライン敷設に外国企業をかかわらせないという制裁発動をしたことで頓挫し、現在、ロシア企業が最後の部分の工事を行うための準備を行っています。
次にドイツと中国の関係があります。メルケル首相が中国寄りということもあり、貿易や二国間関係を含め、拡大路線を突き進んできました。ご承知の通りメルケル首相は旧東ドイツという共産圏出身者であります。その意味では中国の思想とはウマが合うのかもしれません。対ロシア、対中国ともアメリカがそれを邪魔します。つまり、ドイツは敵に回したくないはずのアメリカと疎遠になり、EUに所属していた英国も引き裂かれています。盟友、フランスのマクロン大統領とはEUの改革プランを巡り意見が合わない中、孤高のドイツという状況に陥っています。
ドイツがではどこまで我慢できるのでしょうか?私はメルケル首相の21年秋の任期が終わった時、国内ムードは少し揺れるのではないかという気がしています。今のドイツの雰囲気はメルケル首相の存在そのものがマイナスになりつつあるように見え、新風を吹き込まないと欧州の活性化そのものに影響を及ぼすように見受けられます。トランプ大統領との距離感を含め、メルケル氏のネガティブで保身的なスタンスはドイツの長年の不振、そして隠蔽体質を色濃くしているのかもしれません。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)ドイツの憂鬱
岡本 裕明 2020-07-09 22:41
(連載2)ドイツの憂鬱
岡本 裕明 2020-07-10 23:09
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