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2020-07-02 11:46
(連載2)空軍参謀総長人事と国民統合
倉西 雅子
政治学者
‘賭けに負ける’ケースとは、人種間の対立が一向に収まらず、黒人層の期待を一身に背負ったブラウン氏が米軍内部にあって意図するとせざるとを問わず国民統合に逆効果を発生させてしまう場合です。世界中の反米勢力も空軍の制服組トップの地位あるブラウン氏に狙いを定めて様々な工作を仕掛けてくることでしょう。第一次世界大戦におけるロシア革命もドイツ敗北も兵士の反乱が決定的な意味を持ちましたので、米軍にありましてもブラウン氏の特殊な立ち位置がセキュリティ・ホールと化して、空軍に乱れを生じさせれば、戦争の行方さえ左右しかねないのです。
もっとも、空軍の上部には陸海空軍等を束ねる統合軍が設置されており、さらに上部には全軍を統括する国防総省が置かれています。また、大統領による解任もあり得ますので、仮にブラウン氏になんらかの問題が生じても、チェック機能が働いて大事には至らないことでしょう。しかしながら、職を解かれたら解かれたで黒人層が一斉に反発するでしょうし、反トランプ姿勢のマスメディアも黙ってはいないかもしれません。後者のケースでも国民統合が崩壊し、トランプ大統領は‘賭けに負ける’ことになりそうなのです。
今日、アメリカが国外からの干渉に晒されている現状を直視すれば、人種間対立の激化は非友好的な勢力の策略に踊らされているようにも見えます。そもそも、黒人層への新型コロナウイルスの被害集中が暴徒化の原因であるならば、その批判の矛先は、まずもってパンデミック化を招いた元凶でもある中国やWHOに向けられるべきです。そして、マサチューセッツ州の公園でコロンブスの銅像の頭部が破壊されるといった事件の発生は、その背後に事態を早期に収拾させたくない、もしくは、対立の激化を歓迎する立場の存在を暗示させるのです。
今回の人種差別問題に端を発した様々な米国内の動揺がもたらす影響は米国の国内問題に終始する性質のものではなくなっています。だからこそ、人種の相違に拘わらず、自らが置かれている立場に対するアメリカ国民の自覚にもかかってくるように思えるのです。(おわり)
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(連載1)空軍参謀総長人事と国民統合
倉西 雅子 2020-07-01 22:29
(連載2)空軍参謀総長人事と国民統合
倉西 雅子 2020-07-02 11:46
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