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2020-06-25 23:41
(連載2)召集されない臨時国会と不作為の違憲性
真田 幸光
大学教員
上述したように、憲法五十三条は、衆参いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時会召集を決定しなければならないと定めています。そして、沖縄県選出の国会議員と元国会議員計4人の原告側は2017年6月22日、森友学園・加計学園を巡る問題を審議する為、憲法五十三条に基づき、衆参双方で4分の1以上の議員の連名で臨時会召集を要求しました。これに対し、安倍内閣が召集したのは98日後の9月28日で、審議に入る前の冒頭で衆院を解散しました。今回の判決は、憲法五十三条に基づく臨時会の召集要求があれば、内閣には「召集するべき憲法上の義務がある」と指摘していることから、「単なる政治的義務に留まるものではなく、法的義務であると解され、召集しなければ違憲と評価される余地はあるといえる」と判決では言及されています。
また、国側は召集について「高度に政治性を有する」為司法審査権は及ばないと主張していましたが、判決は、内閣が義務を果たさない場合、「少数派の国会議員の意見を国会に反映させる」という憲法五十三条の趣旨が失われ、国会と内閣のバランスが損なわれる恐れがあるとして、司法が判断する必要性が高いとしています。
即ち、安倍政権が言う通り、「いつまでに臨時会を召集、開会すべきかの規定がないから、臨時会召集をうやむやにして良い」と言う考え方は事実上、否定されたと見られます。
さて、今回、野党がまた、国会の四分の一の賛成を取り付けて、臨時会開催を求めた際、安倍政権は如何なる対応を示すのでありましょうか?「法の統治がきちんと効いている国、日本」を示す上からは、今回は開催時期に明文はないなどと言わず、きちんと早期に国会を開き、「透明性のある国、日本」を内外に示すべきであろうと私は考えます。国際社会もこうした点を注目していますよ、政権の皆様方。(おわり)
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真田 幸光 2020-06-24 22:28
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