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2020-06-05 09:14
(連載2)同調圧力の光と闇
緒方 林太郎
元衆議院議員
そして、今回、結構国レベル、地方自治体レベルで④を何度も見ました。幾度となく要請、自粛の念押しが行われていました。そこまで行くと、もう既に要請でも、自粛でもないのではないか、と思えるくらいでした。書かれていないルールで社会の「気」を作り出し、その「気」で個人を包囲していくやり方ですなのですが、これを行政がやっていました。現行の制度上、それしかやり方が無いわけですが、この手法はその根源において「村八分」と同じです。戦時中に「非国民」というレッテルを張って、特定の個人を追い詰めたやり方と似ています。なので、私は「要請、自粛ではなく、きちんと禁止なら禁止とルール化すべき」という意見を有しています。3月の新型インフルエンザ等対策特別措置法改正時に、厳格な歯止めを入れた上で同調圧力に依拠しないルール作りをしておくべきであった、と私は思っています。きちんと説明すれば、多くの国民の理解を得る事は出来たと確信しています。
強い措置への反対がある事はよく知っています。私も決して積極的に推奨しているわけではありません。ただ、「同調圧力」に過度に依拠したやり方は、その本質においてむしろ危険なのではないかという思いがあります。「クリアカットに決めずに、和の中でやっていくのが日本的なのだ」、それは真実の一面なんだと思います。しかし、それはその価値観が共有出来ているサークル内だけで通用する議論だという事は忘れてはいけません。価値観を共有しない人間にとっては、ただの村八分のツールでしかありません。
ちょっと話が飛びますが、私はメークアップアーティストとしてアカデミー賞を取ったカズ・ヒロ(旧名:辻一弘)さんの言葉が忘れられません。カズ・ヒロさんは、日本生まれですがアメリカに帰化しました。アカデミー賞を取った時に「私は日本を離れ、アメリカ人になった。というのも、too submissiveな文化にウンザリしたんだ。日本では夢を叶えるのが難しい」と言っています。この「too submissive」が、私の言う同調圧力です。私はこのカズ・ヒロさんの言葉がずっと頭に残って離れません。
そして、アカデミアの世界でも、結構多くの日本人が同調圧力を嫌がって海外に移っています。「同調圧力」を前提とした社会の気は、日本から有能な人材を遠ざけては居ないだろうかと思うのです。途中からちょっと話が飛びました。勿論、この「同調圧力」をベースにした社会の気がすぐに変わるとは思いません。ただ、制度の中に「当然、それは機能するもの」という前提を置くのは控えるべきではないかというのが私の見解です。(おわり)
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投稿履歴
(連載1)同調圧力の光と闇
緒方 林太郎 2020-06-04 23:48
(連載2)同調圧力の光と闇
緒方 林太郎 2020-06-05 09:14
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