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2020-05-20 23:14
(連載2)ポジショントークから読む資本主義の病
中村 仁
元全国紙記者
コロナウイルスによる新型肺炎が世界中に拡散する直前に、バブルはピークを迎えていました。というのか、コロナウイルスが引き金になって「いつか破綻する瞬間がくる。いつ破綻してもおかしくない」と警鐘を鳴っていたバブルが崩壊したと考えるべきです。それにコロナ不況が上乗せになるから谷が深まる。
私が懸念するのは、バブル崩壊で売り逃げたマネーは、次の商機を狙ってどこかで待機していることです。これらのマネーは利益を生まない企業の救済、失業者の救済などに向かいません。言い換えれば、バブルと共生するマネーの世界と、実体経済が必要とするマネーの世界が分断されているということです。だから、政府や中央銀行が巨額の財政出動、金融緩和に乗り出さざるを得ません。国による支援で当面企業救済、雇用対策が行われたとしても実体経済をブーストするのには足りないでしょうから、「コロナ後」の低成長の時代を避けることはできません。他方で、中長期でみると投資に向かう過剰なマネーは、世界が分断されているので、どんなにだぶついても実体経済に流入することはなく、次のバブルのチャンスを伺って待機するという現象が発生するに違いありません。
投資銀行家の神谷秀樹氏(米国在住)は「米日などの中央銀行はこぞって、バブル崩壊からの回復は次のバブルの形成でという誤った金融政策を採用してきた」と月刊誌で指摘しています。そして、「政策金利をとことん下げ、市場に資金があり余っているのに、量的緩和でさらにマネーを積み上げた」と。つまり経済成長に貢献しないマネーの増幅を招いただけだということです。
トランプ氏の株価重視の姿勢は露骨でした。安倍総理大臣もデフレ脱却を途中から諦め、異次元の金融緩和の目的を株高と円安に切り替えました。二人とも口ではそうはいっていないだけで、実体を見ればそうとしかいいようがありません。コロナのせいにすることができたので、安倍政権はアベノミクスの失敗を検証する動機もないでしょう。その結果として「実体経済の低迷と株高・バブルの併存」という病が深まってしまい、マネー経済に依拠する資本主義の病が悪化するのではないかと、深く懸念しています。(おわり)
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(連載1)ポジショントークから読む資本主義の病
中村 仁 2020-05-19 23:23
(連載2)ポジショントークから読む資本主義の病
中村 仁 2020-05-20 23:14
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