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2020-04-23 23:55
(連載1)コロナ禍で新聞の苦境が鮮明に
中村 仁
元全国紙記者
新型コロナの猛威に反比例するかのように、新聞販売店の重要な収入源の折り込みチラシが減り続け、とうとう4月9日の朝、手に取った朝刊には、たったの2枚。本紙の広告も自社ものや、明らかに穴埋め用と思える広告が日に日に増え、本社も販売店も経営危機が深刻です。
元来、折り込みチラシの枚数が多い新聞ほど一般家庭に好まれてきました。チラシの枚数は1日平均で13枚という統計もあります。休み明けの月曜日は10枚と少なく、だんだん増え金曜日は18枚、最も多い土曜日は24枚です。この日は木曜日でもともと少ない日です。それでも2枚という経験はまずありません。大手飲料メーカーの中高年向けの滋養強壮系のサプリメントと、大手製薬会社の痩身を想起させるサプリメントです。2社とも通販で買えて、巣篭もり中の健康不安を感じる新聞読者層に響く商品をということでしょう。よく考えてはいます。以前はスーパー、ドラッグストア、家電量販店、健康食品、不動産がチラシの上位でした。営業自粛、臨時休業で多くの店が閉まっていますから激減するのは当然でしょう。チラシは街角景気の指標でした。
新聞販売店にとっては、新聞購読料の50%(定価4000円なら2000円)程度が販売手数料として本社からもらえます。それと並ぶのが折り込みチラシの手数料で、1枚につき3円程度の収入が入ります。2000部を扱っている販売店ならば、二つを合わせ月間1000万円程度の売り上げでしょうか。
販売手数料と折り込み手数料が半々とすれば、チラシ収入の激減は大打撃です。販売店を畳むか、別の新聞社に販売委託をするかを迫られます。軽減税率の対象とはいうものの、消費税引き上げ(昨年10月)を機に、新聞購読を打ち切った読者は多い。新聞という単品だけ配達する販売手法は行き詰っているのです。今回のコロナ不況でダメ押しされる店は多いでしょう。(つづく)
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