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2020-02-18 11:18
(連載2)米中貿易戦争、中国が「敗北」する5つの理由
加藤 成一
元弁護士
この太平洋及び世界の覇権をめぐる米国への挑戦は、第二次大戦後、圧倒的な経済力と軍事力によって、世界の覇権国であり続けた米国にとって到底容認できる事態ではあり得ない。したがって、「偉大な中華民族の復興」や「一帯一路」を掲げる習近平政権が、米国に代わって、アジア太平洋地域、さらには世界における覇権を掌握するための米国に対する挑戦を断念しない限り、「米中貿易戦争」は決して終わらないと言えよう。
しかし、「米中貿易戦争」では中国側の敗北が不可避である。以下その理由を列挙する。
(1) 今回の新型コロナウイルス肺炎の感染拡大により、中国の公衆衛生、医療体制の不備や脆弱性、さらには共産党一党独裁による政治経済体制の意外な脆弱性がはからずも露呈した。このことは今後の中国の経済成長にも影響する。
(2) 両国の貿易構造の不均等性が著しい。米国の対中輸入は対中輸出の約4倍にも達している。したがって、中国経済は対米輸出に大きく依存しており、米国抜きでは中国の経済成長はない。
(3) 中国のGDPに対する貿易額の比率は約33%であるのに対し、米国の比率は約20%であり、中国経済の貿易依存度は米国に比べて著しく高い。したがって、「米中貿易戦争」による打撃は大きく中国側には明らかに不利。
(4) 米国による中国のハイテク製品に対する制裁関税やファーウエイに対する厳格な規制措置等は、中国のハイテク産業に相当な打撃を与える。
(5) 米国による様々な知的財産権侵害禁止措置の発動、米企業への技術移転強要防止措置などは、中国の先端技術開発を遅らせ、ハイテク産業及びハイテク軍事分野の中長期的発展にとって大きな打撃となる。
これら5つのポイントが指し示すことは、「米中貿易戦争」は、長期化すればするほど中国側にとって不利であり、ダメージが大きいということである。
中国が西太平洋において、制空権、制海権を掌握し、東シナ海や西太平洋が中国の支配に帰する事態は、世界有数の海洋国家である日本にとって極めて憂慮すべきことだ。トランプ政権が、中国による先端ハイテク技術窃取や米企業への技術移転強要、国有企業保護などの不法・不正・不当行為を批判し、中国の覇権主義に対抗することは、日本の国益に適う。ゆえに、安倍自民党政権は米国に対して、ファーウエイへの厳しい規制措置をはじめとして、最大限の対米協力協調をすべきである。(おわり)
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(連載1)米中貿易戦争、中国が「敗北」する5つの理由
加藤 成一 2020-02-17 06:48
(連載2)米中貿易戦争、中国が「敗北」する5つの理由
加藤 成一 2020-02-18 11:18
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