ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
2019-11-21 19:29
(連載2)破綻国家続出の世界情勢と市民社会の未来
大井 幸子
国際金融アナリスト
NATO加盟国であるトルコが攻撃を受ければ、他の加盟国も戦闘に参加し、シリア情勢はさらに混迷を深める可能性もある。しかも、今以上にシリア難民が欧州の都市に押し寄せれば、NATO加盟国の国内政治が急速に極右化するだろう。古き良きヨーロッパ市民社会は断崖から転げ落ちる寸前なのだ。
このままでは、近い将来、破綻国家が続出するかもしれない。現に、中東以外でも例えば、南米ではベネズエラも破綻状態だし、その隣国、エクアドルにも破綻の危機が迫っている。次はアフリカや欧州、中東地域で不安定化が起こるだろう。
そして、トルコも含めもともと民主的な国家ですら、独裁的な指導者が目立つようになった。彼らは内閣を自分の言いなりになる側近で固め、異なる意見を持つ者をことごとく抑圧し排除する。プロパガンダで国民を扇動し、フェイクニュースを作り上げて、世論操作を行う。中国のように共産党一党独裁の国家では、情報統制は徹底され、人民解放軍のような共産党の軍隊が国民生活の隅々にまで睨みを利かす。欧米でも市民社会は分断され、差別がはびこり、危機的な状況に陥りつつある。あの英国ですら、Brexitを契機にEU市民が英国人から差別を受けていると言う。私はこの衝撃的なニュースを聞いて暗澹たる気持ちとなった。
ここ数十年、景気が悪化し株式相場が荒れるたびに中間層が没落していった。やがて社会は、富の大半を所有する1%と無産階級の99%に両極分解する。そして、中央集権的な国家機関が一人一人の言動を監視し、デジタル・ファシズムが進行するだろう。国民はAIで心の奥底まで監視され、良心の自由も消され、オーウェルの空想小説『1984年』が実現するだろう。いつ私たちも香港人やウィルグ人と同じ立場に立たされるのか?金融と地政学リスクの高まる先に、「明日の我が身」が見えてくる。(おわり)
<
1
2
>
>>>この投稿にコメントする
修正する
投稿履歴
(連載1)破綻国家続出の世界情勢と市民社会の未来
大井 幸子 2019-11-20 17:01
(連載2)破綻国家続出の世界情勢と市民社会の未来
大井 幸子 2019-11-21 19:29
一覧へ戻る
総論稿数:4819本
グローバル・フォーラム