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2019-10-16 18:31
(連載1)米朝実務者協議に期待感ゼロ
倉西 雅子
政治学者
10月5日スウェーデンの首都、ストックホルム郊外で始まったアメリカと北朝鮮との間の核・ミサイル問題をめぐる実務者協議は、極めて奇妙でした。会談後に開かれた両国代表の見解は、全く逆なのですから。同じ時と空間を共有しながら、何故、かくも両者の説明は食い違ったのでしょうか。
実務者会談の席に付いたのは、アメリカ側はビーガン北朝鮮担当特別代表、北朝鮮側は金明吉首席代表の二人です。会談後の記者会見において、当初、ビーガン特別代表は、合意に向けた感触を得たかのような発言をし、北朝鮮との協議が比較的円滑に進んだことを強調しておりました。しかしながら、もう一方の金明吉代表は、同氏の発言を真っ向から否定し、協議は決裂したと説明しています。
アメリカ側が北朝鮮側も合意したとする、スウェーデン政府による2週間後の再協議提案の受け入れも否定しており、先行きは、さらに不透明になりました。金代表曰く‘対朝鮮敵視政策を完全かつ不可逆的に撤回する実質的な措置を取るまで協議する意欲はない’というのですから。‘完全かつ不可逆的’というフレーズは、‘検証可能な’という表現は欠けているものの、アメリカが核放棄の方法として北朝鮮に対して要求してきたCVIDの意趣返しであることは確かです。
両国間の相違を生んだ理由として推測されるのは、会談直後、両代表の合意内容を聞き知ってそれに不満を抱いた者による介入です。その理由は、北朝鮮の言い分は時間が経過するにつれて過激さが増しているからです。会談が終了した直後の5日にはアメリカに対して一方的に責任を押し付ける声明を読み上げるに留まっていましたが、上述した‘完全かつ不可逆的’の発言が飛び出すのは翌6日です。(つづく)
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(連載1)米朝実務者協議に期待感ゼロ
倉西 雅子 2019-10-16 18:31
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