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2019-09-24 16:50
(連載1)大統領選を控えたトランプ大統領の賞味期限
岡本 裕明
海外事業経営者
トランプ大統領が最近物わかりの良い普通の大統領になった気がします。悪い表現ですが、賞味期限という例えで見るとどうなるのでしょうか?トランプ氏が大統領に就任した時、その思想や振る舞いから「アメリカを二分する」と大騒ぎになりました。数々の過去のスキャンダラスな話が暴露され、トランプ氏はそれを打ち消す一方で、強引な対抗手段に出ました。メディアを縛り上げ、自分でツィッターを通じて直接国民と対話するという方法を取ったのです。
その間、トランプ氏は持ち前のビジネスマンとしての才覚を最大限利用し、多国間交渉ではなく、個別交渉を通じてアメリカに有利な改正を進めてきました。NAFTA(現USMCA)や韓国とのFTAはその一例でしょう。日本との関係ではCPTPP(TPP11)から離脱し、来月にも二国間貿易交渉が締結されることでTPP並みの条件となりそうです。
経済では減税措置を行い、アメリカの消費、および株式市場を活況にしたものの、そのクスリが切れつつあり、FRBに大幅な利下げをすべきだと「外野の『ベンチ』からFRBの選手にヤジを飛ばす」ような状態が続いています。国際協定関係ではTPP以外に地球温暖化対策のパリ協定やユネスコ(国連教育科学文化機関)からも離脱しています。WTO(世界貿易機関)の紛争処理にかかる委員は枠7名に対して現在3名しか委員がおらずそのうち2名が12月までに任期切れしますが、トランプ大統領がWTOに全くの信認を置いておらず、委員を出せなくなる公算が高く、こちらも間もなく機能不全になると見られています。
こうみると世界の枠組みをすっかり変えてきたのですが、彼のパワーにやや陰りが見えてきたのが外交問題です。中国との通商戦争で想定外の長期戦になっていること、北朝鮮問題はほとんど進展してないこと、イランとの今後の展開のビジョンが見えないこと、ベネズエラの対策も中途半端、盟友英国はわんぱくなジョンソン首相となり、ややてこずり感があること、メルケル、マクロン両氏との距離感も明白になっています。(つづく)
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岡本 裕明 2019-09-24 16:50
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