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2019-05-15 12:45

(連載2)世界の潮流、政党の多党化が向かうところ

岡本 裕明 海外事業経営者
 思想の多様化は様々なオプションを生み出します。原発反対を訴える人、移民反対を訴える人、収入格差を訴える人、環境破壊を懸念する人…など、多くのボイスがぶつかり合います。先述の地域政党もその範疇に入るかと思います。

 これは選挙民に本当にメリットがあることなのか、疑念がなくもありません。劇場型政党の場合、ある一点については同意したとしても、他の部分がおざなりになりかねないのです。住民を取り巻く問題は全方位にわたるわけで、一つの問題が解決できても、他の10の問題が放置されかねないリスクを背負っていると思います。にもかかわらず劇場型がよりポピュラーになるのは、分かりやすさからであり、洗脳に近いものはあるのでしょう。

 欧州では、移民反対を唱える極右政党が確実に徐々にその勢力基盤を広げています。最近、スペインの選挙でも「ボックス」という極右政党が10%の議席をとり、世界中で驚きをもって報じられています。極右の目指す移民反対は、限られた労働市場に外部の人間が侵食することへの懸念であり、保身そのものであります。トランプ大統領が言う「メキシコ国境に壁を」も同じです。非常に限られたイシューについて、強力でインパクトあるメッセージを発散するのは、SNS型社会に完全にマッチしているともいえます。わかりやすく言えば、深みがある味より激辛に走る、ということかもしれません。

 多党化による政治とは、連立政権と妥協が主体となりますが、それに応じないケースも今後、多々出てくることが想定され、政治停滞も大いにありうるでしょう。それは民主化の進歩でもあり、混迷でもあります。その間に、中国や北朝鮮のような一党独裁制度を持つ国が、国民の意思にかかわらず、強引な政策を進めることで世の中の歪も生まれてくるのでしょう。ただ、その中国も巨大すぎて統治できない問題を抱えているように見えますし、体制分裂がないとは言えない気がします。政治は本当に難しくなってきたと思います。(おわり)
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(連載1)世界の潮流、政党の多党化が向かうところ 岡本 裕明 2019-05-14 17:12
(連載2)世界の潮流、政党の多党化が向かうところ 岡本 裕明 2019-05-15 12:45
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