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2019-02-26 14:35
(連載2)ベトナムでの米朝首脳会談は何を期待するのか
岡本 裕明
海外事業経営者
ところが歴史的に振り返ると、冊封関係を理由に、中国との関係が深い朝鮮半島の北部が半島全体を支配しやすい構造になっています。(中華思想は中国を中心に円を描いており、中心に近いほど思想上、重要な存在となっています。よって、朝鮮半島に中国が強い影響力を持ち続けるという前提に立てば、北朝鮮が朝鮮半島関係を主導するのが自然な流れとなります。これは政治的というより民族的、儒教的、歴史的立場に立つものと考えます。)トランプ大統領が仮にこの歴史的背景を理解しているとすれば、北朝鮮には段階的緩和策を提示するとの方針変更を行った可能性は大になります。
では、今回はどんな言質をとるのでしょうか?豊渓里と寧辺の核施設の廃棄検証やミサイル施設の破棄が進んでいるかどうか、という点に留まるのではないでしょうか?想像できるのは「金正恩委員長は、私とのシンガポールでの約束を確実に履行していることが今回分かった。あいつは本当にいい奴だ!」というツィッター声明でしょうか。どう見ても、わざわざトランプ大統領が会うほどの成果はないはずなのです。
それにもかかわらず、会談をする理由は何でしょうか?私は、アメリカの狙いは、「北朝鮮の周辺国に対する外交戦略ではないか」と考えています。中国にはアメとムチで、貿易交渉がうまくいけば北朝鮮に対する影のコントロール権を与える。韓国には北朝鮮との和平を通じて恩を売り、米軍駐留費をもっと巻き上げ、「何かあれば撤収するぞ」という脅しをかけ続ける。日本には「ほれ、ロケットはもう飛んでこなくなっただろう」と、安倍首相の政治的得点につながるアシスト役を買って出るわけです。これだけで、アメリカはどれだけ儲けることができるでしょうか?日本はアメリカ製の戦闘機を買う一翼も担っています。合わせると、東アジア諸国から巻き上げる金額は巨額となるはずです。
これはまさに、トランプ大統領がビジネスマンと言われる所以であります。トランプ大統領は政治家ではなく、ビジネスマンです。駆け引きの中に必ず’マネー’が見え隠れします。「’マネー’のにおいがしないところにはトランプはあらず」なのです。いや、別にトランプ大統領に限らず、ブッシュ元大統領も’マネー’は大好きでした。アメリカの体質なのでしょう。ただ、「’マネー’ぐらいで平和が維持できるならそれに越したことはない」ともいえるのだろうと思います。(おわり)
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岡本 裕明 2019-02-25 17:54
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岡本 裕明 2019-02-26 14:35
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