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2019-02-21 11:59
(連載1)移民問題は‘サイレント・キラー’か
倉西 雅子
政治学者
昨年末、入国管理法改正案が国会で可決成立され、日本国内でも、生活空間における外国人の増加が身近な問題となりつつあります。審議時間も十分ではなく、国民的な合意形成なきままの‘見切り発車’となったこともあり、一般国民の間には漠然とした不安感が拡がっております。
日本政府もマスメディアも、声を揃えるかのように国民に対して一方的に‘多様性の尊重’や‘受け入れ態勢の整備’を求めているのですが、移民の増加による変化は国内秩序に留まるわけではありません。国際秩序をみれば、今日の国民国家体系の崩壊を招きかねないリスクをも孕んでいます。
地球儀を一回転させてみますと、その表面には、国境という領域を画する線が無数に引かれています。地表を画する線は時代によって変化しており、1000年前のそれとは大きく違っています。それでは、これらの曲線がどのような基準で引かれているのかと申しますと、それは、現代の国際社会において、各民族に一つの国を持つことを認める原則が成立しているからに他なりません。今日の国境線は、ナショナリズムの賜物なのです。
19世紀から今日に至るまで、ヨーロッパでは、同原則の比較的厳密な適用により各民族がオーストリア・ハンガリー帝国やトルコ帝国から独立しましたし、植民地独立が相次いだ第二次世界大戦後にあっては、国家なき民であったユダヤ人を含めてアジア・アフリカ諸国も同原則の恩恵を受けています。もっとも、一民族一国家の原則の例外も多く、(1)植民地時代に西欧列強により人工的に線引きされたアフリカの諸国、(2)‘新大陸’と見なされて多数の民族が移り住んだ移民国家、(3)周辺民族の征服によって多民族を包摂するに至ったロシアや中国などの帝国型国家、(4)遊牧民族の定住化によって多民族混住となった中央アジア諸国、(5)インドとバングラデシュなどの宗教の違い、などがあります。例外も少なくはないものの、これらの諸国にあって独立運動が起きる時には、民族的なまとまりが独立を主張する正当な根拠ともなるのです。(つづく)
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