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2018-12-06 17:34
(連載1)外国人受入れ総論賛成各論反対
緒方 林太郎
元衆議院議員
外国人労働者受け入れに関する出入国管理法等改正案が、衆議院本会議を通過しました。あの法案の中身は、政令等に委ねている部分が多過ぎて、「これから何が起こるのか」の細部が分かりにくいです。手続き的にも、さすがにちょっとやり過ぎの感じがあります。ただ、政府与党側にはそんな配慮は全くありませんでした。
理由は単純でして、官邸が「今国会に入って内閣支持率は上がっている。少々内容が荒くても、手続きが手荒くても、今の野党の状況では支持率に影響はない。全部蹴飛ばせ。」と判断したという事です。このまま行くと、法案自体は参議院でも会期内に通過していくでしょう。マスコミは昨晩の国会を「大荒れ」と表現していましたが、少し広角ズームで見て行けば、「ト書き通り」だったはずです。オリンピック担当大臣や地方創生担当大臣の様々な問題があっても支持率が下がらないのですから、今後、更に官邸は呑んで掛かって来るでしょう。今後も同様の事例が出てくると思います。
ところで、国会での議論を聞きながら、何処か隔靴掻痒だと思いました。私なりに「何故かな」と考えてみた結果、以下のような、幅広く顕著な傾向があるのではないか、と思い始めました。大体、議論を聞いていると、まず、ほぼすべての方が最初に「私は受入れ反対ではない」という意見表明をします。「労働力不足」への対応が分かってないと言われないようにするという事だけでなく、外国人嫌いっぽく思われるのは政治的正当ではないからです(一般論として、この政治的正当性への強迫観念は左派系の方に強いです。)。
しかし、その後を注意深く聞いていると、一旦「受入れ反対でない」という総論的枕詞を言った後は、どんどん各論でネガティブ・コメントを加えていきます。勿論、法案の問題点の指摘ではあるのですが、その中には「つまりは受入れ反対なんでしょ?」、突き詰めると「実は外国人が入って来る事そのものが嫌なんでしょ?」と思いたくなるようなものが散見されました。つまりは「『総論賛成、各論反対』の体裁を取った『総論反対』」であり、「タテマエとホンネの乖離」とも言えるかもしれません。(つづく)
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