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2017-11-17 18:22
(連載1)習近平国家主席は“ビッグ・ブラザー”か
倉西 雅子
政治学者
ジョージ・オーウェルの『1984年』は、理想郷であるユートピアとは正反対の邪悪に満ちた世界を描くディストピアの代表作です。奇しくも中華人民共和国建国の年と同じ1949年に公表された同作品は、独裁者スターリンが君臨したソ連邦をモデルとしたとされています。
現在の中国の政治状況を見ますと、習近平国家主席は、同作品に登場する“ビッグ・ブラザー”に思えてきます。“ビッグ・ブラザー”とは、同小説の舞台であるオセアニア国の独裁者です。国民の前には自らの姿を現さないものの、常に国民を監視する存在であり、その顔写真のポスターは街の至る所に張られています。“ビッグ・ブラザーはあなたを見ている”というキャプション付きで。
“ビッグ・ブラザー”のような豊かな黒い髭こそないものの、国民に対する自己顕示の強さは、習主席にも窺えます。先日開催された中国共産党全国代表大会において習氏の総書記再選出を伝える新聞の一面は、同氏の巨大な顔写真が掲載されたそうです(習近平ソングやバッジもある)。同氏には、“習大大”という愛称があり、“大大”とは中国語では“おじさん”という意味のようですが、“大”は英語では“ビッグ”です。
また、習主席への権力集中が強まるにつれ、情報統制の手法も『1984年』の世界に近づいており(オセアニア国ではテレスクリーンという装置が使用されている)、国内でのスマホやSNS等の普及に伴い、内外の情報通信企業各社の協力の下で国民の言動をデータとして逐次監視できるシステムを整えつつあります。(つづく)
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