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2017-07-12 10:26

(連載2)IMFについて

真田 幸光  大学教員
 その後の世界ではこうした通貨危機が発生するごとに同様の対応が見られていますが、昨年は、アラブの春以降、期待された経済的な回復が起こらぬ、「エジプト」に対して、国際通貨基金は支援策を発表、実施中であります。

 しかし、エジプト国内には、「IMFの経済的な主権を認めず、エジプトを先進国の傘下に収める為に動くような動きをする組織であり、エジプトにとっては、IMFと言う組織は、決して好ましい組織とは言えない」と、IMF支援を否定的に見る傾向が垣間見られます。そして、こうした見方は、1997年にそのIMFによる支援を以って経済危機を脱したと言われる韓国に於いてすら、今も一部には存在しており、韓国国内にある一部の米国、先進国に対する不満や不信はアジア通貨危機時の経験にあるとの意見もあるのです。そして、私はそうした見方を完全には否定していません。

 そしてまた、視点を変えてみると、国際的に見ても、数値から見れば、厳しい財政状況にある日本が、国際社会からの信認を失い、その結果として、急激な円安状態となると、食料も原材料もエネルギーも、その多くを海外依存している日本は、これらのものを輸入できなくなり、事実上の国家破綻を起こす可能性はあります。そして、その際には、現状のシステムの中で再建の道を歩むこととなれば、日本はIMFに管財人として介入され、経済的な国家主権は奪われると覚悟しておかなくてはなりません。

 そうしたことを想定すれば、やはり日本は今、財政再建に向けた明確なビジョンを内外に示さなくてはならないのではないでしょうか。私はこのような事態が発生することを意識すると、日本の財政問題に関しては慎重な見方をしています。(おわり)
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