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2017-06-30 19:48
(連載2)日欧EPAはTPPよりリスクが低い
倉西 雅子
政治学者
つまり、経済格差によって、上述した二つの逆方向の流れが同時に発生することで、とりわけ経済レベルの高い側の国民にしわ寄せが集中するのが、“行き過ぎたグローバリズム”の問題点なのです。この側面から日欧EPAを見ますと、日EU間では、TPP加盟予定国間ほどには経済格差がありません。また、EUのようにモノ、人、サービス、資本の自由移動を認める市場統合をするわけでもないのです(日欧は国境を接しておらず、米墨間のような密入国も問題も起きない…)。即ち、上記の問題は日欧EPAでは起きにくいのです。
しかも、移民問題については言語の問題もあり、日本国からEUに移民労働者が押し寄せたり、逆に、EUから移民労働者が大量に日本国に流れ込む事態もあり得ません。日欧EPAについては、“コメが絡まない分、交渉は楽である”との評もあるそうですが、“格差移動”がない点も、日欧EPAが低リスクな理由ではないかと思うのです。
自由貿易において相互利益が確実に期待できるパターンとは、双方が相手国が生産できない産品を有している場合です。この点、日本国政府は、ソフトチーズといった乳製品の関税撤廃には難色を示しているそうですが、カマンベールやブルーチーズといった嗜好品は、カビの種類や伝統技術等により、どうしても同じ品質のものを日本国内で生産することはできません(日本製もありますが生産・流通量も少なく、食感も本場のものとは違ってしまう…)。
こうした、主食ではなく、かつ、特産性の高い品目こそ、率先して関税を撤廃しても良いのではないかと思うのです。(おわり)
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倉西 雅子 2017-06-29 19:18
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倉西 雅子 2017-06-30 19:48
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