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2017-01-25 18:40
(連載1)二つの“アメリカ・ファースト”
倉西 雅子
政治学者
新たに発足したトランプ政権については、日本国を始め世界各国のメディアでは、“アメリカ・ファースト”の方針に対する批判的論調が目立ちます。大胆な転換を目指すトランプ大統領に対する警戒感の現れなのでしょうが、“アメリカ・ファースト”には、二つの方向性があるように思えます。
頭一つ抜きんでているアメリカが唱える“アメリカ・ファースト”に対して、周囲の諸国が身構えるのにも、それなりの理由があります。第二次世界大戦後、アメリカは国際秩序の擁護者として要となる役割を引き受けており、実際に、国連などの国際組織にあっても、その役割の重要性に見合った特権が認められています。安保理での“拒否権”に留まらず、NPTでも核保有国の特権を享受し、軍事技術面においても他の諸国の追随を許さない軍事大国となりました。
そのアメリカが、国際法秩序よりも自国の利益を優先するとなりますと、戦後のレジームは一気に崩壊しかねません。“アメリカ・ファースト”が、国際社会において何らかの拘束からも“自由”であることを意味するならば、これは、“アメリカ超越主義”、あるいは、“アメリカ絶対主義”と表現することができます。“アメリカ・ファースト”は、アメリカの国益の他の国々の国益に対する優先ではなく、国益の国際法秩序に対する超越、次元の違いを意味するのですから。
その一方で、“アメリカ・ファースト”が、“Our Country and People First”、即ち、自国・自国民優先主義を意味するならば、この方針は、主権国家の独立性を保障する国際法の原則とも一致しています。(つづく)
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倉西 雅子 2017-01-25 18:40
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