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2016-12-09 11:06
(連載2)エジプト動向について
真田 幸光
大学教員
エジプトは国民の生活必需品である食料やエネルギーの多くを輸入に頼っているので、それらを一定程度購入できるだけの外貨を持っていないと、一挙に国民生活が危機に陥る危険性を持っている中、通貨が暴落すると海外からの輸入が滞り、一気に危機が顕在化するリスクを抱えています。
エジプト政府の試算では、1ヶ月分の国民の生活必需品を買うのに必要とされる金額はおよそ50億米ドルと言われているようですが、今のエジプトの外貨準備高水準では、これが数ヶ月しか持ちません。
エジプトはこれまでスエズ運河通行料金や出稼ぎ労働者の本国向け送金、外国からの投資、観光業などで、外貨を稼ぎ、こうした国民の生活を支えるものを輸入してきましたが、アラブの春以降、治安悪化が顕在化し、外国からの投資と観光の落ち込みが顕在化して、経済を大きく悪化させています。つまり、これを簡単に示すと、「アラブの春→治安悪化・政治経済の不安定化→投資の減少、株価の下落、外国人観光客の減少」と言う形となり、正に負の連鎖に陥ったとも言えます。
こうした中、エジプト政府は、IMFからの支援に頼らざるを得ないと判断しつつあるようで、IMFからは支援の実行条件として、エジプトに増税や補助金政策削減といった緊縮策をとることなどが義務づけられています。しかし、IMFのこうした要求は、「エジプト国民に対する我慢を強いる」ということにも繋がり、反発がある上、「結局はIMFの背後にいる先進国に経済的主権を奪われ、エジプトは改革されてしまうのではないか」といった不安と不満が存在しているように思われます。果たしてエジプトがどういう経緯で動いていくのか? 財政状況が極めて悪く、潜在的には、突然の自国通貨暴落リスクを潜在的には抱えている日本国民としても、エジプトの様子を注目したいと思います。(おわり)
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(連載1)エジプト動向について
真田 幸光 2016-12-08 17:03
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真田 幸光 2016-12-09 11:06
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