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2016-05-24 10:51
(連載2)ブラジルの政治混乱
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
しかし、この通りに進むかどうか微妙です。下院に差し戻しとなった場合には、かなり時間がかかる可能性があります。私は、オリンピックが近づくと大規模デモが頻発するのではないかと予想していました。ワールドカップの時には5月あたりには反政府の大規模集会が開かれていました。それ以上の混乱になると予想していたのですが、この大統領弾劾裁判をめぐる動きがあるので、まずは状況を見守るという感じのようです。ただ、下院に差し戻しなどの事態となり、先行きが不明となったら、一気に大規模デモが組織される可能性があります。時間稼ぎで、ルセフ大統領がリオオリンピックで挨拶をすることになれば、反発はさらに高まります。オリンピックの開催そのものにも影響があるかもしれません。ですから、弾劾裁判の承認が上院でされ、テメル副大統領が暫定大統領となるパターンと決議が下院に戻され、先行き不明になるパターンの二つのシナリオを考えておく必要があります。
国民も市場も政治の変化を望んでいます。弾劾裁判が承認されそうだということで、株価はやや戻っていましたが、下院に差し戻しの可能性が出たことにより、株価は落ち込んでいます。政治の変化が遅らされたら、反政府大集会が開かれ、オリンピックどころではなくなるかも知れません。国民にとってオリンピックより生活の方が大切になっています。
テメル暫定大統領でオリンピックとなる場合でも、治安の問題と交通の問題は深刻なようです。経済はすぐには持ち直しません。治安は相当に悪くなっており、オリンピックまでに安全な国にしようという政府の目論見は崩れています。政府にも自治体にも予算はなくなっており、交通アクセスの整備は全く不十分なようです。予行演習となるべきイベントもできておらず、ぶっつけ本番。相当な混乱がありそうです。
ブラジルは確かに混乱しています。経済も最悪に近くなっていますし、治安も悪化しています。しかし、ブラジルの潜在力は確かです。早い定年や高い公務員の年金など改革すべき点は多々あります。しかし、それを実行できれば、未来の国としての力があります。資源も豊富です。日系人も多くいます。日本は、こうしたブラジルの不安定な時こそ、しっかりと協力をして次のステージにともに進むことが重要です。(おわり)
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(連載1)ブラジルの政治混乱
児玉 克哉 2016-05-23 14:45
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(連載2)ブラジルの政治混乱
児玉 克哉 2016-05-24 10:51
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