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2016-04-27 11:54
(連載1)選挙の敗北でレームダック状況の朴政権の今後を考える
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
朴大統領が就任してから3年強が経ちました。朴大統領の主要政策はほとんどうまくいっていません。「運」もあります。韓国がバブル的経済のもとに高度成長した直後の就任です。そのバブル経済の時の無理を引き受ける時にちょうど就任したのです。国民からの期待は高いものの、実際は厳しい環境下での政権運営をしなければなりませんでした。しかし、朴大統領も大国となった韓国のイメージでの政治運営をして、結局これが、状況をさらに悪化させることになりました。まだ任期は2年弱あります。
しかし、その2年弱の任期で「歴史的業績」をあげるには非常に大きいハンディとなる選挙での与党の大敗でした。最低限、現状維持、できれば少なくとも過半数の議席を得るというのが「歴史的業績」の条件でもありました。与党セヌリ党から公認を得ることができず無所属で立候補し当選した議員のなかから7人が復党。それを足しても、130議席に届かない状態です。完全な大敗です。
朴大統領が目指したのは以下のものと言えます。(1)経済大国としての発展、(2)生活大国としての発展、(3)中国との関係強化、(4)北朝鮮への太陽政策からの新たな展開、(5)反日政策、(6)アメリカと距離を置いた関係。このほとんどがうまくいっていません。(1)と(2)はセットといっていいでしょう。韓国のこの20年の発展はすばらしいものでした。1988年にソウルオリンピックを開催した頃は、まだ非常に不安定な国というイメージでした。1990年代に入り、徐々に経済発展の速度をあげ、アジア通貨危機などを経験するものの、低迷する日本を尻目に、韓国は奇跡の経済発展を実現しました。しかし、この経済発展は、海外からの投資をもとに比較的安かった労働力と相対的に高いレベルの人材能力・技術力で成し遂げたものでした。自己資金比率は低く、いわばバブル経済的な側面もありました。円高ウォン安という状況もプラスに働きました。ちょうど、朴政権に入った頃に歪みが問題化したとえいます。労働力も高くなり、強い労働組合との関係もあり、企業は不況に適応させることが困難になりました。安い中国製品と技術力の日本製品との間で、厳しい状況に置かれつつあります。企業の多くにかつての勢いがなくなり、日本が経験した「失われた20年」をこれから経験するのではないかと言われる状態になっています。
中国との関係強化は、朴政権の目玉とも言えました。経済発展も中国との関係から伸ばそうという意図がありました。しかし、肝心の中国経済が低迷しはじめ、中国への傾倒はむしろマイナスの部分が大きくなりつつあります。北朝鮮をめぐっては中国の方針とずれる部分も出てきました。蜜月時代が終わりつつあると言っていい状態です。北朝鮮に対しては太陽政策的な宥和外交を行ってきました。「信頼のプロセス政策」という朴大統領の北朝鮮外交は、南北の対話と信頼をベースにするものでした。しかし、朴大統領の期待を裏切るような形で金正恩第一書記は核実験やミサイル実験を実行します。そして朴大統領を敵視するメッセージを出し始めます。結局、宥和路線は頓挫します。朴大統領は南北対話において歴史的な成果をつくろうとしたと思われますが、これはほぼ失敗です。相手が悪かったといえるでしょうか。(つづく)
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児玉 克哉 2016-04-28 12:44
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