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2016-04-25 12:46
(連載1)ウクライナにみるロシアと日本
牛島 薫
団体職員
サミットが迫り議長国を務める日本の安倍総理大臣の動向が注目されている。日韓関係を改善し日米同盟を強化するなど現実主義的な外交でおしなべて評価が高い安倍政権であるが、対ロシア外交においては欧米とは異なるスタンスを示している。米国の覇権に挑み続けるこの国に影響されて日本がその立ち位置を誤ってはいないだろうか。ロシアの猛威にさらされるウクライナを他人ごとに思えない日本人は多いだろう。
ウクライナはソ連の核弾頭処理問題においてNPT加入を強制され残留核兵器を放棄し代償として集団安全保障体制の恩恵を受ける旨のブダペスト覚書を取り交わしたが、そのブダペスト覚書でウクライナの領有権を尊重することを確約したはずのロシアによっていとも簡単に踏み躙られクリミアは併合されてしまった。(実際の運用能力を維持できたかは脇に奥として)もしウクライナがソ連製核弾頭を配備していたならばクリミアに対してプーチンのロシアが冒険主義的な行動を起こさなかったであろうことについて、日本人は特に留意すべきだ。
他方で、ヘルシンキ合意などの数々の約束事にもかかわらずウクライナに侵攻したロシアに対してイギリス、フランス、アメリカなどのNATO諸国は軍事行動のそぶりを見せなかった。これはロシアが核兵器を保有しているがゆえに欧米に当初から武力介入をする意志がなかったことを示す象徴的出来事だ。核兵器の保有国に対する非保有国への一方的な支配性がウクライナを侵襲しているのである。ウクライナにとってクリミアを切り取られるという重大な主権侵害をロシアに固定化されたことはもはや取り返しのつかない屈辱となったに間違いない。
そのロシアと領土問題を抱えている数少ない国の一つが日本だ。ロシアは日本に対して様々な情報を発信してきているため、ロシアに対して期待感を持ってしまう人もいる。ロシアの何らかの変化に期待してしまっているのである。確かに瀬戸際外交をもはや通り過ぎ恫喝外交を行いつつある北朝鮮や、明確に尖閣諸島の併呑に着手している中国などといった日本と協調する路線を取らないことが明示的な国々と異なり、ロシアは端的に言ってしまえばプーチン次第でありプーチンが知日であることが甘い展望を抱かせがちだ。(つづく)
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牛島 薫 2016-04-25 12:46
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