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2016-04-14 17:26
(連載1)中国人の爆買いのなくなる日
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
中国人観光客の爆買いが話題になっていますが、これが注目されたのは2014年。つまり、まだ2~3年くらいしかない極めて新しい現象です。中国人観光客は一人あたり消費額が約30万円、買い物額が約17万円と言われます(観光庁「訪日外国人動向調査」2015年4月~6月)。すごい数字です。中国人観光客はどんどんと増えていますからこの傾向が続くと、日本の百貨店やドラッグストアなどは大いに潤います。廃れていた南部鉄器などもこの中国人の爆買いによって、息を吹き返しました。問題は、「これがいつまで続くのか」です。
中国は人口が多く、これからさらに新たな観光客が来ることや中国の税制の問題、さらには中国での商品の信頼の問題があるので、この爆買いは長期にわたって続くと見る人もいます。低迷を続けていた百貨店などは中国人観光客の免税品の爆買いが救世主となっています。長期にわたるとみて、外国人向けの売り場を大幅に増やしているところもあります。
まだ2~3年しか経っていないこの爆買い現象ですが、すでに変化が起きています。まず、一人あたりの購買額が減っています。2~3割減っていると言われます。そして高級品をたくさん買う傾向が薄れ、日常品を買うようになっています。南部鉄器は、これで湯を沸かすとお茶が美味しいと言われ、本物志向の中国人観光客に飛ぶように売れました。5万円くらいの価格設定だったのが、需要と供給のバランスも崩れ、10万円、20万円のものが売れまくったのです。しかし、徐々にこのブームも収まりつつあり、店によっては在庫を抱えそうです。ここ1~2年が異常であったといえます。
爆買いに不利な要因が出てきています。まずはなんといっても中国経済の低迷です。中国経済は凄まじいばかりの発展を遂げましたが、バブル的要素もかなりありました。中流階級も増えてきて、これが訪日観光客の多くになっています。彼らの資金の中には不動産なども含まれます。大都市では不動産がどんどんと値上がりし、億を越える価値のマンションを所有する人も珍しくありません。そうした資産を担保に相当なお金を得ることができたのです。そうした経済構造が崩れつつあります。株価も下がる中では、やはり使える資金も限られてきます。中国人が「特別」という時代は去りつつあります。(つづく)
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(連載1)中国人の爆買いのなくなる日
児玉 克哉 2016-04-14 17:26
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