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2014-12-09 13:53
(連載1)麻生発言「子どもを産まないのが問題」の意味
中村 仁
元全国紙記者
衆院選のさなか、麻生副総理がまた舌足らずの失言をしました。「高齢者が悪いというイメージを作っている人はいっぱいいるけれども、子どもを産まないのが問題だ」と、おっしゃいました。趣味の漫画のイメージで、重大な問題をかいつまんで、短絡的に話してしまったのでしょう。人口減少、少子高齢化が日本の最大の問題です。恥ずかしい話として片付けずに、考えていかなければならない問題があります。
失言を聞いて「またか」と始めは思いました。社説でさっそくかみついた新聞社もあります。「失言に至る動機があったに違いない」と思い、「ひょっとすると、自民党が圧勝しすぎても困るので、意図的に失言をしてみせたのかな」と考えました。ある会合で知人にそう言うと、「そんな計算ができる人物であるはずがない」と一蹴されました。しばらく出生数や出生率の低下の問題で、議論を交わしました。
知人の1人が深刻なデータを紹介しました。「自分が関係したシンポジウムで、少子高齢化問題の専門家があるデータを示した。人工妊娠中絶の数は一般にいわれているより、はるかに多い」というのです。政府の統計では、08年は24万件となっています。「丸い数字でいうと、ここ何年かは、20万人くらいの数字が続いていることになっている。問題の性質上、正確な実態はつかめない。推測では、40万人の中絶が行われている」。
40万人の生まれてくるべき命が失われているのは、人道的、倫理的問題であります。と同時に、人口減問題を考えるうえでの、重大な手がかりがあるように思われます。新生児は13年、103万人でここ100年ほどのうちで、過去最低になりました。出生数が死亡数を下回る「自然減」は24万人でこれは過去最大となりました。(つづく)
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