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2014-06-29 09:45
(連載2)セクハラヤジ、品性に欠ける政治
中村 仁
元全国紙記者
品位に欠けるヤジの禁止・自粛を意味する規則は、国会についても、都道府県の議会についても、すでにあります。議会の議長に大きな権限があります。議事がストップし、抜き差しならない混乱に陥らない限り、議長、委員長は「お静かに、お静かに」、「静粛に願います」と、多少は大声をはりあげる程度の対応にとどめています。国会法第116条は、衆参両議院議員について「議員が議場の秩序を乱し、または議院の品位を傷つける時は、議長は制止し、発言を取り消させることができる。命に従わない時は、発言を禁止し、または議場の外に退去させられる」と定めています。都議会会議規則は「議員は議会の秩序、品位を重んじなければならない」(105条)、「何人も会議中はみだりに発言し、騒ぎ、議事の妨害となる言動をしてはならない」(108条)と定めています。
スポーツの試合でも、たくさんの高感度カメラを競技場に会場に持ち込み、スロービデオでボールの動きなど微妙なシーンを巻き戻し、判定を覆したりするようになってきました。議場ではどうでしょうか。高感度マイク,指向性マイクで、かなりはっきり、どんなヤジを飛ばしたか、品位に欠けるヤジだったかを捕捉し、再現できるはずです。放送局によってはそうしているところがあるかもしれませんね。ヤジそのものを法律上、規則上、はっきりと定義するのは難しいこともあり、ヤジそのものを規制するのは生産的ではないかもしれません。古くは吉田茂首相が衆院本会議で演説中、「それでよく総理が務まるなあ」というヤジが野党から飛びました。すかさず与党から「お前でさえ、代議士が務まるようなものだ」との応酬があり、満場が爆笑に包まれました。これなどは、息抜きになり、議場の活性化に役立ったでしょうね。許容範囲内です。
ヤジは新人議員の役目、というより、新人研修のようなものだという説もあります。タイミングよく、ユーモアや機智に富んだヤジを飛ばすには、日ごろから政策をよく勉強し、他の議員の発言を必死になって聴いていることが必要ですしね。浜田幸一衆院議員(通称ハマコー)は口が悪く、社会党議を「黙れ、強姦野郎」とヤジりました。こういうのは品位を汚し、いけません。米国の下院では、オバマ大統領に、ある政策問題で、共和党議員が「このウソつき」とヤジったところ、下院はこの議員に対し、けん責決議を採択したそうです。ヨーロッパ主要国では、ヤジそのものは禁止していないようですね。ただし、品位にかけるヤジには厳しいそうです。パリ在住の友人に聞いたところ「ヤジはある。演説者の演説内容にかかわることばかりで、セクハラヤジの類はまずありません。プライバシー(個人的攻撃を含む)と公共性を混同しないということでしょう」との返事でした。
「ヤジ」の語源は「ヤジ馬」で、「ヤジ馬」の語源は「おやじ馬」だそうです。年老いた馬は御しがたいばかりでなく、仕事に使えない、というのです。「ヤジ馬」は無責任に、面白半分に騒ぎ立てる人、浅はかな興味を持ち、物見高く火事現場などに集まる人をさすとか。「ヤジ馬」が短縮して、「ヤジ」になったといわれます。品位に欠けるヤジを飛ばしてばかりいて、仕事に使えない議員ということでは困ります。国会議員も、自治体の議員も、品位に欠けるヤジの自粛をし、議長や委員長は規則にのっとり、厳しく毅然とした態度をとることが必要です。また、ヤジや怒号で議事をとめたり、混乱させたりすることが、野党の政治戦術になっています。邪道です。議員になったら、議員研修の名目で、欧米の議会を視察にいくことを義務づけたらどうでしょうか。言葉は分らなくても、日本よりはまともな議会政治をしていることぐらいは分るはずですよ。(おわり)
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(連載1)セクハラヤジ、品性に欠ける政治
中村 仁 2014-06-28 23:18
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中村 仁 2014-06-29 09:45
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