そのような中で、Bard College のウォルター・ミード教授は、米国の中東政策を激しく批判し、「米国はムスリム穏健派を中心に中東地域で民主化を進めようとしたが、その見通しは甘かった。しかも、民主化推進に際して、サウジアラビアとイスラエルの関係を悪くしてしまった。サウジアラビアにとって、ムスリム同胞団の動向とオットーマン帝国の栄光を企むエルドアン政権の野心は、スンニ派の脅威と映る。また、民主化を煽動し、中東地域の指導権を狙うカタールとアルジェジーラがエジプトとトルコのデモ隊に資金を提供していることに、サウジは地域全体が不安定化に向かうと警戒している。シリア内戦に米国が早めに介入できなかったことは、失策に尽きる。ロシアとイランがアサド政権を支え、シリア情勢は悪化の一途をたどる。そうした混乱に乗じて、宗派抗争やエスニック・クレンジングが激しさを増し、シリアからレバノン、イラク、トルコへと混乱が拡大する可能性がある。混乱が深まるにつれ、急進派がテロリスト集団として再び力を盛り返す。じっさい、ビンラディン殺害から、アフガニスタンとパキスタンでテロの脅威は増している。中東でのイランの影響力が大きくなるにつれ、イスラエルとサウジは協力関係を深めるだろう。米国はそのイラン政策を根本的に見直す必要がある」と述べています。