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2013-07-31 10:17

(連載)日本農業の戦略的可能性(2)

島田 晴雄  千葉商科大学学長
 米の減反制度を完全に撤廃し、作付け・生産は自由とする。そうすると大規模農家や企業の生産が増え、生産性が高まるとともに米の価格が低下し、国際競争力が高まる。一方、零細高齢農家は産業農家ではなく、後継者のいない高齢農家にふさわしい、社会から歓迎される活動を選択して戴き、政府はそうした選択を有意にするための若干の支援を行う。

 それらの活動とは、例えば、健康農業、教育農業、環境農業、観光農業などである。健康農業は、自宅近くに最小限の農地を持ち健康の為に体調に合わせて趣味の耕作活動をして戴く。こうした選択をする方々には現在の農業年金に若干の上乗せをしてもよい。

 教育農業とは、夫婦共稼ぎで必死に生活している多くの御家庭では満足に子供に朝食も用意できない為に、栄養が偏り体力低下や疾患が起きている。彼らはむしろ月2、3万円の食費を払って農山漁村などに子供を預かって戴く。子供を預かる農家などは数人も預かればある程度の所得になるし、感謝もされる。山間へき地で土地の保全をして下さる農家には、環境農業として若干の補助金を支援する。さらにアグロツーリズムという参加型の観光農業を促進する。以上の農業は産業農業とは峻別し、農業統計から外す。

 こうすることによって日本の農業は高品質の上に生産性が高まり、価格が低下し国際競争力が高まるとともに、零細高齢農家が分母から除かれるのでマクロの生産性も著しく高まる。農業政策関係者はこうした抜本的な政策を考える段階にきている。(おわり)
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