1990年代、日本がいわゆる「国連中心外交」をとれないことを日本語でわかりやすく解説した人に、イギリス人の日本研究家ロナルド・ドーア氏がいる。当時、『「ノー」と言える日本:新日米関係の方策』(盛田昭夫・石原慎太郎著、1898年)がブームを呼んでいたので、ドーア氏は「ノー」と言うだけでは不十分だとして、日本国憲法と国連憲章を対照させる議論を盛り込んだ本に、『「こうしよう」と言える日本』(朝日新聞社、1993年)という題をつけた。1997年には英語版『日本、国際主義、および国連』(Japan, Internationalism and the UN, Routledge)が出版され、ペーパーバック版も出ているので、こうした論点は海外の日本研究者にもよく知られているであろう。