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2012-03-15 00:16
(連載)原発の安全対策を急げ(1)
湯下 博之
元駐フィリピン大使
東日本大震災から1年が経ち、3月11日には東京の国立劇場で政府主催の追悼式が行われた。式には心臓のバイパス手術後間もない天皇陛下が皇后陛下と共にご出席になり、深い感銘を与えるお言葉をお述べになった。
大震災及び津波そしてそれに伴って生じた原発事故の犠牲者や被災者の方々には、あらためて心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたい。そして、今年こそ挙国一致体制での復旧と復興の年となることを願わざるを得ない。種々困難があるとは言え、余りにも時間がかかり過ぎており、また、テキパキとした取組みが無さ過ぎるという印象を持つのは、筆者だけではあるまい。指揮系統をはっきりさせ、着実な進展が目に見える形で具体化することを最優先すべきであると思う。
ところで、それと併せて不可解なことがある。それは原子力発電所の安全性に関する取組みに進展が見られないことである。今回の大震災の被害が、地震や津波によるところもさることながら、原発事故によるところが極めて大きいことは周知の事実である。そして、原発事故に関しては、いわゆる「安全神話」の問題が多々報ぜられている。
例えば、「メーカーが東電に『安全性を向上させるため』と原発の改善提案を出すと、東電は『今は危険なのか』と怒った。東電で安全性向上は禁句だった」とか、「米国のスリーマイル島原発事故では水位計の誤表示が問題になり、各国は水位計を交換したが、日本は変えなかった。原子力関係者が絶対安全という安全神話で自縄自縛に陥っていた」という関係者の発言が報ぜられている。即ち、いわゆる安全神話に基いた従来の安全対策では不十分であり、これを改善する必要がある訳であるが、どのような措置がとられたのか、或いはとるのかについては、報ぜられていないように思う。(つづく)
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(連載)原発の安全対策を急げ(1)
湯下 博之 2012-03-15 00:16
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湯下 博之 2012-03-16 09:38
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