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2012-03-06 08:43
(連載)北方領土交渉:日本政府はこの「チャンス」を生かせるか?(1)
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアの大統領選直前、日本など西側のメディアと会見したプーチン首相は、自分から北方領土問題を持ち出し、「最終的に解決することを強く望んでいる」と語った。一方で、日本側の譲歩を求めているが、プーチン氏がこれまでのしがらみを乗り越えて解決への強い意欲を示したことは間違いない。問題は、日本政府・外務省がこのチャンスを活かせるかどうかだ。
選挙の3日前に外国メディアと会見すること自体が異例だが、それだけ当選に自信があることを内外に印象づけ、余裕の勝利をつかもうというプーチン流の高等戦術だろう。素直に考えれば、再登板する以上、最初の3期目になんとか成果を上げたいという意思の表れともとれる。
プーチン発言を読むと、日本側からの質問を想定し、回答を練り上げてきた感じがする。冒頭に日本が元祖の柔道家であると述べ、日本側の好印象を引き出す。そして日本との貿易高が伸びていることを評価しつつも、対中貿易額と比較すればいかに少ないかを強調する。そのうえで、経済協力をさらに進めていく中で領土問題を解決していこうという、経済優先の対日戦略が描かれている。
肝心な領土問題の解決方法についても、森喜朗首相当時、日本側が2島返還を定めた日ソ共同宣言(1956年)に立ち返るよう求め、ロシア側がそれを受け入れたのに、その後、再び日本側が4島返還路線に戻ったと批判している。そして柔道用語の「引き分け」を持ち出して日本側に妥協を迫る。タフ・ネゴシエイターの面目躍如と言えよう。(つづく)
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