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2012-02-20 00:02
(連載)外国人の土地買収に超鈍感な日本人(2)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
そもそも湯浅記者の記事は、その冒頭に谷垣自民党総裁の、外国人による土地所有に関する発言を取り上げ、それを批判することによって展開されている。その谷垣総裁発言とは、『人民日報・海外版』の日本語版第4号に載ったもので、同誌の編集長のインタビューに対して、「以前、貿易黒字が続いていた頃、日本企業はアメリカのロックフェローセンターを購入しました。その時も、アメリカ人は日本に反感を抱き、抗議しました。忘れてはいけないことは、日本の市場で売買は自由です。中国の投資家が日本で不動産の取引をしても決して違法行為ではないのです」と発言しているという。
湯浅記者はこれを、「中国資本に日本国内の土地買収を推奨しているような印象を与える」と評しているが、湯浅氏が指摘する谷垣発言の最大の問題点は、相互主義について全く盲目な点であろう。「日本企業が米国の不動産を買うことができるように、米国企業も日本で土地が自由に買える。ところが、中国は外国資本に限らず土地買収を認めていないから、あちらでは借りるしかない」ということが、最大の問題点なのだ。
湯浅記者はその具体例として、日中の公館の場合を取り上げ、中国では「日本大使館をはじめ各領事館の土地はいわば賃貸である。一方の中国は、日本国内にある7カ所の公館のうち、大使館を含む4ケ所を所有している。相互主義に基づけば、中国の在日公館の土地はすべて賃貸でなければ公平性を欠く。米国はその立場から中国公館の土地所有は認めていないから、日本はいかにもおめでたい」と述べている。アメリカは相互主義を貫いているのに、日本はそれができていない。日本が一方的に不利な、不平等関係である。
中国公館の土地は中国の領土と同じだから、我が国は明確に領土を侵略されているわけである。公館による完全な土地所有に対してすら、これだけ鈍感なのであるから、一般の中国人による土地買収を警戒する意識が、国にも政治家にも全くないことは、けだし当然なのかもしれない。しかもマスコミでも、それが問題視されることは殆どない。アメリカでは、日本のロックフェラーセンター買収にマスコミが大騒ぎし、結局大幅な安値で買い戻された。まさに日本は中国人にとって、侵略対象として、これ以上のない絶好のカモである。(おわり)
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(連載)外国人の土地買収に超鈍感な日本人(1)
酒井 信彦 2012-02-19 18:54
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酒井 信彦 2012-02-20 00:02
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