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2011-07-31 01:14
(連載)政権公約の過ちを繰り返すな(1)
湯下 博之
元駐フィリピン大使
今後のエネルギー政策、具体的には脱原発依存問題をめぐって、日本が揺れている。困ったものだ。何故なら、この問題をめぐっては、現実には答は一つしかあり得ないのに、あたかも選択肢があるような空想的な議論が横行し、その結果、日本のエネルギー政策が危機にひんしているからだ。
私達の生活にとって、電力は不可欠である。電力なしには、日々の営みも経済活動も維持できない。島国である日本は、ドイツなどのように隣国から電力を輸入することは出来ず、自給に頼らざるを得ない。電力を自給するためには、水力、火力、再生可能エネルギー、原子力による発電に依らざるを得ないが、水力には量に限界があり、火力には地球温暖化問題による制約があり、再生可能エネルギーは未だ十分に実用化されていない現状では、原子力を放棄することは不可能である。
長期的目標としては、再生可能エネルギーの開発と実用化に全力を挙げて取り組むべきことは当然であり、それが実現した暁には、原子力や火力による発電を廃止することは十分に考えられる。しかしながら、再生可能エネルギーが実用化される迄の何十年かの間は、火力はもとより原子力にも頼らざるを得ないことは明らかである。
問題は原子力の安全性であり、この点についての日本のこれ迄の政策や体制が極めて不十分なものであったことが、今や明らかになった。技術的には安全性を確保することは可能とされており、そのために必要なコストを払い、体制を築けば、安全な原子力発電を行える筈である。原子力発電を続ける政策をとっているフランスでは、メルトダウンが起きても、或いはテロなどで建物に飛行機が突っ込んでも、対応出来る対策措置がとられていると報ぜられている。(つづく)
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