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2011-07-16 08:28
(連載)シェールガスの日加共同開発に期待する(2)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
現在、福島第一原発事故のあおりを受けて、世界的に天然ガスの需要が高まるのではないかとの観測から、天然ガスの価格は上昇基調にある。日加共同の大規模なシェールガス共同開発がアナウンスされたことは、それに一定の歯止めをかけてくれる可能性がある。カナダは、シェールガスだけでなく、様々な鉱物資源に富んでいる。
我が国は、日加シェールガス共同開発を契機に、日加間の経済連携をより緊密にしていくべきである。さらに、カナダは、北極海開発においても主導的役割を果たすと見られている。すなわち、北極海の海底資源開発と、北極海航路の実用化である。このような長期的展望も、日加が経済的連携を深めるべき理由である。
温室効果ガス削減の観点からも、天然ガス火力発電所にCO2地下貯留技術を組み合わせる技術を日加で共同開発することで、削減の恩恵を両国でうまく分け合うことができる可能性がある。これも、日加シェールガス共同開発のメリットの一つであり、京都議定書で定められている共同実施(JI)という制度は、こうしたことを認めている。私は、京都議定書そのものの延長には反対だが、JIに類する制度は残すべきであるし、残ることになるのではないかと思う。
ただ、日加シェールガス共同開発が進むからといって、安易に「脱原発への条件が整った」などという議論の根拠にすべきではない。カナダが我が国にとって天然ガスの大口の供給先になるとすれば、それは、政情不安な中東諸国からの天然ガス輸入を代替するという方向性が正しいのであろう。ムード先行の脱原発論争に巻き込む筋合いのものではない。(おわり)
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高峰 康修 2011-07-15 09:54
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高峰 康修 2011-07-16 08:28
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