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2011-06-22 09:35
(連載)問題のある朝日の「アジア安全保障会議」報道(2)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
この取材記者は、例の峯村健司記者である。峯村記者による会議自体に関する記事の冒頭は「『みなさん、真剣に話を聞いてくれてありがとう』。5日、演説を終えた中国の梁光烈国防相は立ち上がり、会場に向かって両手を振ると、満席の会場から大きな拍手が上がった。中国の存在が際だった会議を象徴するような締めくくりだった」である。以下、南シナ海の紛争に関する中国の言い分と戦略について、峯村記者は詳しく解説する。しかしこの解説には、中国の言い分と行動に対する疑問や批判は、完全に欠けている。
すなわち峯村記者は、徹底的に中国側に立って報道している。峯村健司記者には、私も以前から注目していたが、本年の3月に目出度くボーン・上田賞を受賞した。ボーン・上田賞とは、正式にはボーン・上田国際記者賞と言い、毎年優れた国際報道を行った記者に贈られる。峯村記者の受賞理由は、同賞委員会の説明によれば「中国軍の空母建造計画や海洋戦略など中国の安全保障政策のほか、メディアに対する規制や情報政策などの未公表の政策に関わる報道に積極的に取り組んだ」ことだと言う。「未公表の政策」を報道するのだから、これはスクープである。それだけ取材対象に食い込んでいるのだろう。しかし、共産主義の独裁政権相手に、本物のスクープができるのであろうか。中国政権にとって都合の悪いスクープをしたら、捕まるか、国外退去処分を受けるだろう。だから、峯村記者の実態は、中国政権の言い分を垂れ流す中国政権のスポークスマンなのである。世に言う「ミイラ取りがミイラなってしまっている」わけである。
それを端的に示しているのが、峯村記者の「核心的利益」についての報道振りである。「核心的利益」とは、現在におけるシナ人の侵略を正当化するイデオロギー、すなわちシナ侵略主義の中核概念である。既に侵略しているチベットや東トルキスタンを「核心的利益」の範囲として、次に侵略併合を目指している台湾もそこに含めている。更に、南シナ海まで拡大して、中国軍の幹部は「中国の主権が及ぶ」と明言した訳である。つまり明白な侵略宣言に他ならない。それを峯村記者は「中国軍幹部が直接メディアに言及したのは初めて」と言って、無邪気に喜んでいる。
これでは、峯村記者は「シナ侵略主義者の手先である」と言われても、仕方がないのではないだろうか。もちろんこれは峯村記者個人だけの問題ではない。朝日新聞と言う組織そのものの問題である。今回の南シナ海における中国の行動については、読売新聞にも、日経新聞にも、批判的な社説が掲載されたが、私が知る限り朝日新聞には全く見当たらない。このような新聞が一流紙として通用し、峯村記者がボーン・上田賞を受賞する事実こそが、シナ人による精神侵略が完全に成功している、何よりの証拠である。(おわり)
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(連載)問題のある朝日の「アジア安全保障会議」報道(1)
酒井 信彦 2011-06-21 18:55
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(連載)問題のある朝日の「アジア安全保障会議」報道(2)
酒井 信彦 2011-06-22 09:35
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