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2011-06-15 10:03
(連載)日本政治の混乱を見る、海外の目の厳しさ(1)
茂田 宏
元在イスラエル大使
4月30日~5月6日号の英誌『エコノミスト』誌が「日本の助けにならない政治:日本を再建、あるいは壊しているのか」との記事を掲載した。今は、震災と原発事故への対応で与野党が力を合わせる時期であるが、日本の政治は、菅内閣不信任案の提出、菅・鳩山間の理解の行き違った文書の締結によるその否決、その後の菅首相の退陣時期をめぐるごたごたなど、政治闘争に明け暮れている。
海外メディアは大体あきれているが、米国で日本の立場を世論に説明し、「日本は力のある国であるから無視してはいけない」との論陣を常に張ってきたAEI(アメリカン・エンタープライズ研究所)のマイケル・オースリン研究員さえも、「日本は破綻国家なのか。それは問題なのか」と題する論説を『ナショナル・レビュー』誌(オン・ライン)に書いている。日本の政治への外国の見方がこれほど否定的であった時期はないように思われる。なぜこういうことになり、その今後への影響はどうか。以下に私見を述べる。
第1に、小沢元代表は菅総理の原発や震災への対応を批判しているが、そのポイントがよくわからない。どうすればよいという代案を全く示さず、「菅総理では乗り切れない」と主張しているだけだからである。鳩山前総理も同じである。「政策面で不満がある」、「こうすべきだ」と言うのであれば判るが、この時期に「信頼できない」というだけのことで総理を変えようとする動きは、理解しがたい。小沢元代表は菅首相と違い、「国民との約束であるマニフェストを守れ」と主張しているが、震災後の現状で、そんなことが出来るわけがない。
原発の状況は、冷却がうまくいかず、炉心が溶解し、放射性物質が次々に「自然現象」として出てきているということである。水をかけて冷却する以外に手はない。その汚染水をどう処理できるかの問題である。小沢氏は「自然現象」を政治主導で別のものに変えられるとでも思っているのか。国際社会が日本内部のごたごたを単なる権力闘争と見ているのは、それが政策論争や、路線論争ではない、ことを見抜いているからで、無理はない。(つづく)
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茂田 宏 2011-06-16 09:52
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