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2006-06-03 11:17
韓国を中国側に追いやってはいけない
小此木政夫
慶應義塾大学教授
昨日の橋本千鶴さんの投稿「韓国は中国の民主化に協力するだろうか?」を拝読しました。昨年4月に東京で開催された「日韓対話」における私の発言の細部にまで関心を払っていただき、ありがとうございます。ご理解の大筋に誤りはありません。発言中に明示されているように、橋本さんの指摘された前段は中長期的に達成されるべき目標であり、後段は短期的な目標ないし前段を達成するための手段です。
ただし、韓国に関する発言は単なる「リップサービス」ではありません。私が強調したいのは体制問題、すなわち日本と韓国が民主主義と市場経済という体制を共有しているという点であり、歴史、領土問題や地政的摩擦(中国、北朝鮮)の存在にもかかわらず、韓国は日本のパートナーになりうる(なるべき)存在であるということです。そのような信念は、大げさに言えば、日本の国家的なレーゾンデートルともかかわります。
韓国はまだ新興民主国家であり、分断国家なので、今後とも、さまざまな試行錯誤を繰り返すことでしょう。そのなかには、日本にとってありがたくないことも多々あることでしょう。しかし、韓国の民主化を軽視してはいけません。事実、歴史的に見ても、明治維新以来はじめて、日本はその近隣に体制を同じくする国家を持つことができたのです。これは韓国の開化派との政治的連帯を模索し、ついに「脱亜論」に到達せざるをえなかった福澤諭吉が、願っても得られなかった画期的な状況です。
その意味で、韓国と中国は戦略的に差別化されなければならず、韓国を中国の側に追いやってはいけません。ぜひ1998年10月に小淵首相と金大中大統領が署名した日韓「パートナーシップ」共同宣言を再読してください。韓国にとっても中国の民主化や自由化は重要であり、それこそが共同繁栄のための最も重要な基盤であることが理解される日が来ることでしょう。
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投稿履歴
韓国は中国の民主化に協力するだろうか?
橋本千鶴 2006-06-02 10:27
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韓国を中国側に追いやってはいけない
小此木政夫 2006-06-03 11:17
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