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2011-01-05 16:38
(連載)2011年のアメリカ外交の課題(1)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
バラク・オバマ大統領の外交政策での指導力は、昨年11月の中間選挙での手痛い敗北もあり、厳しい評価が問われることになるであろう。『デイリー・テレグラフ』紙のトビー・ハーンデン記者は、アメリカ外交の十大優先課題を挙げて、2011年の世界情勢を予測している。これらの課題に対処するうえで、アメリカには充分な資産を投入するだけの意志と能力があるのかが、最も問われるべき問題である。
十大課題の中でも特に重要になってくるのがアフガニスタンとイランである。オバマ大統領は「2011年の7月にもアフガニスタンからの撤退を開始する」と発言したが、昨年11月にリスボンで開催されたNATO首脳会議では「2014年12月までに」と撤退期限を延期した。オバマ政権自体にも問題はある。ボブ・ウッドワード氏が自らの著書『オバマの戦争』で語っているように、大統領は心理的にアフガニスタンから撤退しているのだ。
また、政権内部でも早期の撤退を主張するジョセフ・バイデン副大統領と、任務の完了を主張するヒラリー・クリントン国務長官やロバート・ゲーツ国防長官との間で意見が分かれている。ハーンデン記者は、アフガニスタン側に複雑に絡み合った問題があることを指摘している。反乱分子はパキスタンの辺境地域を根拠地として利用している。アフガニスタン政府には、依然として腐敗が蔓延し、治安部隊も(幾分か改善されているとはいえ)心もとない。今年のオバマ政権は、ハーンデン記者が上記で指摘した問題点に取り組む必要がある。さもなければ、デービッド・ペトレイアス陸軍大将が挙げた成果も、無に帰してしまうだろう。
イランに関しては、イスラエルのモシェ・ヤーロン戦略相が「技術的な問題のために核開発には3年を要する」と述べた。アフマディネジャド政権が核開発を停止することは考えにくいが、経済制裁によるイラン経済への痛手から若年層の間で全国的な不満が高まっている。ハーンデン記者はイランでレジーム・チェンジか、イスラエルの攻撃でもあれば、アフガニスタンの反乱分子掃討作戦が有利に進められるようになると言う。(つづく)
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