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2010-02-03 20:59
(連載)日米同盟の矛盾に挑戦(1)
若林 秀樹
元参議院議員
1月19日、安保改定の署名から50年を迎え、日米両国は、外務・防衛担当の閣僚による「共同声明」を発表した。その声明には日米同盟を礼賛する美辞麗句が並んでいるが、いくら読み返しても、両国政府のこの声明に込める熱意が一向に伝わってこない。それだけ日米同盟は成熟した関係にあるという見方が出来ないわけではないが、やはり現下のぎくしゃくした関係が反映しており、その証拠に署名は日米首脳ではなく、関係閣僚に格下げになったような印象は否めない。
そもそも長く続いた一党支配から政権交代が起きれば、鳩山政権にならずとも、摩擦が起きるのは当然である。今起きている問題は、もともと日米同盟が抱えている矛盾や疑問点が露出したのであり、そのほとんどが想定された範囲内の問題である。むしろ、これらの問題を解決して逆に日米同盟を強化することは可能である。問題は、その前提条件として、政府が関係改善への強い意思と実行能力を持っているかどうかだ。
日米同盟には、以下の3つの矛盾や問題点を抱えている。第1番目は、日米に限らず、同盟に対する依存度が高ければ高いほど、主権国家としての自主性を損ない、相手国に追随しがちになりやすいということである。日本の安全保障にとって日米同盟は、唯一と言ってもいい、最も重要なものであるが、アメリカにとってのそれは、自国の安全保障の一部にすぎない。ヨーロッパは、NATO(北大西洋条約機構)の印象が強いが、それに加え、欧州安全保障協力機構(OSCE)やEU内の欧州安全保障政策(ESDP)があり、それぞれの役割分担がある。
その意味において、安全保障に関する対米依存度を下げようする鳩山政権の試みは意味がない訳ではない。問題は、しっかりとした時間軸に沿った青写真と実行力があるかどうかだ。仮にアジア諸国と良好な関係を築き、東アジア共同体構想を足掛かりにアジア版多国間安保機構を模索したい意向があるとしても、それは構想であって、実現には20年、30年単位の時間がかかる。まずは政権党として現実の安全保障をいかに担保するかが求められている。沖縄の負担を軽減することは重要であるが、一方で現状の安全保障の要である日米同盟を危機にさらすようでは意味がない。(つづく)
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