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2009-11-16 09:42
(連載)オバマ大統領初来日に思う日米同盟の原点(1)
若林 秀樹
元参議院議員
オバマ大統領がアジア歴訪の最初の訪問地として初来日し、また東京で重要な政策演説を行うことは、オバマ政権の日本重視の姿勢として率直に評価したい。米国としても、クリントン国務長官が最初の訪問国として日本を選んだように、同盟国としての日本を重視する姿勢を示すと共に、訪問の順番という面子を気にする日本に対して、不必要な摩擦は避けておきたいという本音があるようだ。そしてオバマ政権にとって、今回のアジア歴訪で最も重きを置く国は、日本の滞在期間(実質1日)よりはるかに長い3日間も滞在する中国であることは言うまでもない。
しかしながら、相変わらず日本のメディアは、日本と中国のどちらを重視するのかという二者択一の論点から抜け出せずにいる。米国にとって、日本は今もなおアジアで最も信頼できる重要な同盟国である一方、中国は米国の同盟国でも民主国家でもないものの、既に米国の外交戦略を左右する最も影響力の大きい重要な大国である。即ち、その日中の重要さの質の違いを区別してアメリカの動向を認識すべきなのである。
中国の経済規模は間もなく日本を抜き、遠くない将来にアメリカも抜くことが予測されている。また中国の軍事予算は毎年2桁の率で増大しており、総合力では遥かに及ばないものの、その軍事力はアメリカを脅かすほどになりつつある。地球温暖化では、既に中国はアメリカに並ぶ世界最大の温暖化ガス排出国であり、更なる増加が見込まれる中国を抜きにした削減目標設定は、世界にとって意味がないほど、環境面での影響は甚大である。そして言うまでもなく、北朝鮮問題やテロ対策でも中国の協力は欠かせなくなってきている。もはや米国にとって中国は、その動向を無視して一方的に外交方針を決められない存在にまでなっているのである。
そして日本だが、残念ながら国際社会における存在感は益々薄くなりつつある。国際政治の潮流として、ブラジル等の新興国を含めた多国間による協力や、EUやASEANという地域単位の影響力が高まっている。成熟した関係にある重要な同盟国であっても、日本との関係を重視する比重は構造的に低まっているのである。また長期的に見ても、日本の相対的な経済規模は益々下がり、日本は長期にわたる人口減少時代を迎え、米国における日本の存在感は益々低くなることは確実である。その意味において今後の日本の外交戦略や日米関係を誤らないためにも、国際社会における日本の位置づけ冷徹に捉えておくことが必要であると思われる。(つづく)
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